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第6話

 ゆるやかな絶頂の波が近づいたと思ったら、下半身に違和感を覚えて思わず下を見る。  すると、陰茎を咥えながらまだ誰も受け入れたことのない窄まりに、崎田が中指を挿入し始めたところだった。 「や、なに……?」 「……ここに挿れないと多分治まらないぞ」 「ぅ……」  とても真面目な口調でそう言われ、数秒考えた後に萩山はゆっくりと頷く。 「痛かったら言えよ」 「わかった」  と言っても、自分でもわかるほどΩの分泌液で濡れそぼったそこに、指一本程度ならたやすく挿れられるだろう。  崎田と出会ってしまったことで、つくり変わってしまった自分の身体に少し恐ろしいものを感じたが、きっと彼とならどうにかできるだろうという根拠のない安心感が胸にぽっと灯り始める。  それを知ってか知らずか、崎田は萩山の陰茎をゆったりと舐めつつゆるゆると指を挿入させていき、いつの間にか中指は全て萩山の中に収まっていた。 「え、あ……」 「全部入ったぞ。わかるか?」  くりくりと内壁を指の腹で撫でられて、その慣れない感覚に軽く腰を浮かせる。  崎田の指が何かを探すようにゆっくりと動き回り、ある一点を見つけた途端ふにふにと押し始めた。 「ゃ、さきた、それ……」 「ん?」 「変な感じするから、やだっ……!」 「大丈夫。まだ慣れてないからだろうけど、これから気持ちよくなれるよ」  痛かったら言ってくれな、と言ってもう一度崎田は萩山の陰茎を咥える。  口だけでじゅぼじゅぽと陰茎を愛撫しながら、先程の場所を優しく撫でられ続けると、萩山の身体にある変化が訪れた。 「ぅ、おしり、あつい……」 「痛いってことか?」  指を止めて心配そうに見つめる崎田に、萩山は首を横に振って答える。 「違う、なんか変で……気持ちいい?のかな、これ……」 「ああ。気持ちいいんだと思うよ」  嬉しそうに笑った崎田の表情を見て、萩山の胸がどくんと大きく高鳴る。  この不整脈はフェロモンでヒートを起こしてしまったせいだと自分に言い聞かせながら目を瞑ると、また愛撫を再開されて思わず甘い声が漏れた。  なんで、どうして崎田が、はずかしい、気持ちいい――  身体に与えられる快楽が理性をどんどん蕩けさせていき、様々な疑問を考える余裕すらなくなる。  これが本当のヒートなのかと思うと、あれだけ努力してもやはり運命には抗えない気持ちが勝り、涙がひと粒零れ落ちた。  中からと外から、両方の刺激で絶頂が近いことを悟った萩山は、しわのあまりついていないシーツをぎゅっと掴んでこれから来る快楽に耐えようとしていた。 「萩山、かわいいよ」 「そ、な……あっ!」  自分からはかなり遠いであろう褒め言葉をかけられ、萩山は混乱しながらも無意識に腰を動かし、これから来る大きな快楽の波に呑まれないよう口からふうふうと息を漏らす。 「イっていいよ、由樹(よしき)」  不意に昔は呼ばれていた下の名前を呼ばれた瞬間、体の芯がかあっと熱くなる。 「り、(りょう)っ……!」  思わず昔の呼び名で返事をすると、崎田は満足そうに笑い、萩山の陰茎をぢゅるると舐め上げた。

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