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第7話

「イっ……く、うっ……!」  前立腺を押されるのと連動するように、びゅ、びゅ、と崎田の喉奥に打ち付けるように精液が噴き出す。  あまりの量に口から漏れないかと萩山は心配していたが、目の前の男は美味しそうに飲み下した後に自らの唇をぺろりと舐めた。 「ちょ、吐いて……!」 「ん?」 「不味かっただろ……?」  萩山が言うと、崎田はなんでもないような顔でさらりとこう口にした。 「いや?美味しかったけど」 「は…?」 「よ……いや……萩山の、だからな」  元の呼び方に戻したうえで神妙な面持ちで崎田が呟いたのを聞いた萩山が、一瞬口をつぐんだのを見計らったように二本目の指が挿入されて、萩山は一気に現実に引き戻される。 「ぅ……」 「悪い、痛かったか?」 「ちがくて、イったばっかだから…」  ああ、と合点がいった様子の崎田は、動かす指を止めて萩山の腰を掌でゆっくりとなぞる。  その様子を眺めていた萩山は、そこからじんじんとした熱を与えられて全身に広がっていくような感覚に陥り、すぐにヒート特有の熱感を取り戻した。  そういえば抑制剤を飲んでいると言っていたが、こんなにフェロモンにあてられて崎田は平気なんだろうか――と萩山が彼の様子を盗み見ると、やはりズボンの布が持ち上がっており彼も間違いなく欲情していることが伝わってきた。  Ωとαの関係性からしたら当然ではあるけれど、崎山が俺で勃ってるんだ。と自覚した萩山は上手く呼吸が出来なくなる。  自分の中でばらばらに動いてリズムよく交互に前立腺を押されるのも、自分の顔をじっと見つめながらどこか嬉しそうにしているのも、久しぶりに会った幼馴染に身体を開いているのが嫌じゃない自分自身も。  今朝までとは全く違う人間になってしまったように感じられてしまった萩山は、快楽とは違う類の涙を浮かべる。  崎田に悟られないよう、よがるふりをしてそれをふき取ると、三本目の指が侵入してきていよいよ準備が出来てしまった。と萩山は心の中で覚悟を決めた。 「萩山、辛くないか……?」 「大丈夫……あのさ。ヒートのΩってほんとに子作りできるような身体になるんだな」 「え……?」 「俺、怖いよ。今朝まではβのふりして生きられたのに」 「萩山……」  言葉を失った崎田の方を見て、萩山は今までとは違う笑顔を浮かべる。 「あのさ、崎田。俺を征服する……種づけするつもりで、思い切り抱いて欲しい」  ごくりと唾を飲む音とともに、崎田の喉が大きく上下した。

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