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第8話
「萩山は、本当にそれでいいのか?」
この状況でも相手のことを心配する優しさを持っている崎田に感謝しつつも、萩山は首を縦に振る。
「……多分なんだけど、そうしないとこのヒートが終わらないような気がするんだ。今日中にどうにかしないと、またあんな……」
話しながらどんどん声が細くなりぶるぶると震え出した彼を見て、崎田は指を引き抜き萩山を強く抱きしめる。
「そうだよな……Ωだと、この町には居づらいもんな。なあ、萩山……」
「なに?」
「……いや、なんでもない」
口ごもる崎田を不思議そうに見ていたら、身体を解放された後に崎田の手で脚を大きく開かれる。
着ていた服をぞんざいに脱いだ後、妙に真剣な様子でコンドームを取り出して装着している様子を、萩山はまじまじと見つめていた。
「……あんまり見るなよ」
「それはお互い様だろ……ていうか、本当に根本太くなるんだな」
「まあ、うん……萩山のフェロモンのおかげかな」
「はは。そりゃどうも」
崎田は笑顔を取り戻した萩山を優しい瞳で見つめた後、とろとろと濡れそぼっている窄まりに、樹脂越しの熱を押し当てる。
「萩山。このタイミングで聞くのもどうかと思うんだけど」
「ん……?」
「こうするの……俺が、初めてか?」
「当たり前だろ。俺は今まで、外ではβの男として生きてきたんだから」
半ば自嘲するような口調で萩山が言うと、崎田は安心したような悲しいような表情をした。
「俺は、萩山の初めてをもらえて嬉しいよ」
「え?」
「痛くなったら言えよ」
萩山が返事をする前に、ぐ、と崎田の欲が押し当てられる。萩山は一瞬身を硬くしたが、すぐにカリ首まで入ってきたことに驚きを隠せなかった。
「はは……やっぱり俺、Ωなんだなあ」
「……萩山がΩでよかったと思ってるよ、俺は」
「な……っあ、う……!」
めりめりと入り込んできた崎田の陰茎は、Ω特有のぬるつきのおかげか随分すんなりと根元まで納まった。
痛みも萩山が思っていたほどなく、自分はαに抱かれるための身体なんだと改めて思い知らされた彼は心臓がつきりと痛んだ。
「萩山が大丈夫になったら動くから、言ってくれよな」
優しい口調とは裏腹に、中に入り込んでいる陰茎はどくどくと大きく脈打っている。
それを感じた萩山は、いきなり強いヒートになった自分を同情で仕方なく抱いているわけではなく、崎田もちゃんと興奮しているんだと実感して少しだけ安心した。
「なあ、崎田」
「どうした?」
「俺、こんなヒートになったのがお前の前でよかった」
それを聞いた崎田は嬉しそうに微笑み、萩山の中にある陰茎をひと回り大きくさせた。
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