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第9話

 ぬるつきのお陰で挿入時の痛みは少なかったものの、身体を割り開かれる初めての感覚に萩山は身を硬くする。  それを察した崎田は下半身を密着させたまま、萩山の頭を撫でた。 「っ……さき、た」 「ん?」 「もう、動いてほしい……」  頬を赤らめて涙目になっている萩山があまりにも扇情的で、崎田は乱暴に腰を打ち付けたくなる気持ちを抑えながらずりゅ、ぬる、と腰を動かし始める。  自分の体内を熱い塊が移動する感覚に鳥肌を立てた萩山だったが、その動きの中から快楽を拾い上げるのにさほど時間はかからなかった。 「や、これ、やだ……」 「どうして?」 「なんか、ぞわぞわ、するっ……」 「それが気持ちいい、だよ。萩山」  じわりじわりと気持ちよさが下半身から全身に回っていく。まるで毒のようだなと頭の片隅でぼんやり考えていた萩山は、無意識に崎田の頬へ手を伸ばしていた。  それに気づいた彼は、微笑みながら萩山の手に頬ずりをする。少しの間萩山の体温を楽しんだ後に手首を優しく掴み、手の甲に唇を落とした。 「なあ、それ」 「悪い……嫌だったか?」 「ちがくて、その……」 「萩山……?」 「口にも、してほし……んむっ……!」  言い終わる前に勢いよく唇を塞がれ、ぬるりと舌が侵入してきて驚いた萩山の肩が小さく跳ねる。  ぐりぐりと陰茎を奥に押し付けられながら、上顎をねっとりとなぞられる。  上からも舌からも犯されているような気持ちになった萩山は、刺激の強さに脳みそが追いつかずされるがままになっていた。  なかなか口を開放してくれない崎田に何かを言いたくても、全て鼻から漏れる喘ぎとなって消えていく。  鼻から呼吸が上手くできず、酸欠気味になって萩山がぼうっとしてきたところでようやく唇を開放された。 「今の萩山……すっごく、エロくて最高」 「はは……ありがとう、でいいのか、なっ……」  息も絶え絶えに軽口を叩くと「それでいいよ」と言った崎田がもう一度軽いキスをしてきた。  その時に角度が変わり、その刺激で萩山がいっそう甘い声を漏らすと崎田は同じところを何度も擦り上げた。  奥を突かれたかと思いきや、入り口あたりを浅く往復し始めた崎田の動きを萩山は不思議な気持ちで感じ取っていると、奥のある一点を押された時にぞくぞくとした気持ちよさが背筋を走っていき、思わず背を反らした。 「……見つけた」 「な、にをっ……ん、うっ……!」 「萩山のいいところ、だよ」  うっとりとした様子で同じところを何度も押され、強すぎる快楽に生理的な涙が滲む。  そもそも、ただヒートを落ち着かせるだけのセックスのはずなのに何故崎田はここまで優しく自分を抱くのだろう……と萩山が残ったわずかな理性で考えていると、腰を強く掴まれる。  そのせいで快楽を逃がせなくなり、抗いがたいほどの快楽の波が押し寄せて悲鳴にも近い喘ぎが萩山の口から自然に漏れる。 「さきた、やだこれ、なにか、くる……っ」 「由樹、すごく可愛い……」  崎田自身も興奮しているのか、ぎらぎらとした目つきで激しいが雑ではないピストンを繰り返しており、彼の絶頂も近いことが手に取るようにわかった。

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