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第11話

 一度イったらなんとかなるかと思いきや、ヒートの感覚は未だ収まらず、大多数のΩはこんな思いを毎月しているのか。と萩山は驚きつつも、彼らと自分は違うと思いたい心が薄ぼんやりと顔を出す。  この街で生きているΩは、皆「ヒートがあるなんてかわいそう」だとか「フェロモンを出してるΩはαさんに襲われても仕方ない」だとか、田舎特有の偏見の目で見られている。  いつの間にか萩山自身もそちら側の人間になってしまっていた、という事実に若干の吐き気を催したところで、下半身へ響く衝撃が響き現実に引き戻される。 「由樹。何考えてたの?」  柔らかいが凄みのある口調で問われると、はっとした萩山は首を横に振る。 「なんにも、かんがえてな……っい」 「嘘。笑わないから教えてよ」 「……俺、ほんとにΩなんだなあって……情けなくなって」 「情けなくなんかないよ。由樹は由樹だ」  目を丸くした萩山を見て優しく笑った崎田は、優しく頭を撫でる。その温かさに何故だか胸が締め付けられた萩山は、目にたっぷりと涙を溜めた。 「なあ、遼。さっきの約束ってまだ覚えてるか?」 「ん?」 「その……種付けするつもりで……ってやつ」  視線を明後日の方向へ向けながら赤い顔で萩山が言うと、崎田は合点がいった様子で頷いた。 「覚えてるけど……痛いとかはないか?」 「ん、大丈夫」 「……じゃあ、お言葉に甘えてそうしようかな。実はさっきからすっげー我慢してた」  一旦陰茎を引き抜いた崎田は、まずは背中こっちに向けて、と萩山に言う。彼がその通りにした途端、勢いよく彼の奥まで貫いた。 「っん、あ……!」 「やべ……腰止まんない」  どちゅどちゅと力強いピストンが萩山の身体を揺らし、マットレスから伝わった振動がベッドを軋ませる。  うなじの方に荒い吐息が吹きかけられたと思ったら、首輪越しに歯を立てられる感覚が萩山を襲った。 「ひっ……!」 「ごめん……でもちゃんとカラーしてるから、許して」  首輪越しでも軽い電流が走るような感覚に襲われた萩山は、実際に噛まれたらどうなるんだろうと思考を巡らせる。  ただ、この場所で番になるというのは、今の萩山にとってはあまりにも非現実的だ。  今の仕事も辞めなければいけなくなるし、狭すぎる街で噂が広まる速度を考えるとぞっとするものがある……というところまで考えたところで、何故自然に崎田と番になることを考えているんだと我に返った萩山は、継続的に与えられる快楽に身を任せることにした。

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