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第12話
半ば乱暴に揺さぶられ続けていると、不意に奥の奥を崎田の陰茎で執拗に押され始め、萩山は本能的にぞっとした。
これがこれ以上奥に行ってしまったら、絶対にヤバい――そう思い身を捩るが、両の手首を掴まれて後ろに引かれ、抵抗できない状態になる。
「う、あ、あぁ――ッ……!」
ぐぽん、という衝撃の後に崎田のカリ部分がもう一段階奥に押し込まれる。
絶頂に近い快楽が萩山の全身を巡り、止まらない喘ぎのせいで口から唾液がとろりと垂れ落ちた。
まるでオナホールかのように好き勝手されているが、不思議と嫌悪感はなく、むしろもっとして欲しいとさえ思う。
しかし、それを口にしたら何かが大きく変わってしまうという確信があった萩山は、唇を噛んで耐えていた。
それに気づいた崎田が、奥のくびれを引っ掛けるように陰茎を出し入れさせながら、欲の詰まった声色で囁いた。
「由樹の声、もっと聞きたい」
「ふっ……ぐ、う……」
「なあ、俺のお願い……聞いてくれないの?」
駄目押しとばかりに腰を打ち付けられ、その衝撃の強さに口をぱくぱくとさせる。
「あ、はっ……あ……!」
「由樹のエロい声、可愛い……」
つい出てしまった声が萩山のスイッチを入れてしまったようで、もうこれ以上激しくならないと思っていた動きがそれ以上のそれになり、強制的に絶頂へ導かれていった。
「もう、イっ……くうぅ……!」
「由樹……俺ももう――」
パンパンに張り詰めた陰茎から大量の精液がほとばしり、樹脂の中に大量に注ぎ込まれていく。
崎田が自分の中で脈打っていることと、精液が溜まっていく刺激でも軽くイってしまった萩山の記憶は、そこで一旦途切れた。
目を覚ますと、腰のだるさと若干の頭の痛さがあるが、先ほどまでの妙な身体の疼きがほぼなくなってホッとする。
枕の横に崎田が行為の前まで着ていたシャツが置かれており、不思議そうに眺めていると水が入ったペットボトルを持って萩山が戻ってきた。
「あ、目ぇ覚めたか。気分はどうだ?」
「まあまあ、かな……ありがとう」
「いいっていいって。というか、由樹」
「ん?」
「巣作りしてくれたのか?すっげえ嬉しい」
周りを見ると崎田の服であろうものが自分を取り囲むように置かれており、無意識にこんなことをする自分自身に驚くと同時にぞっとする。
萩山が暗い顔をしたのに気づいた崎田は、彼のことを抱きしめながら優しい口調で話しかけた。
「由樹。俺の前ではβのフリなんかしなくていいからな」
その言葉に何かが吹っ切れた様子の萩山は、大きな涙をぽろぽろと溢れさせる。
萩山が泣き止むまで、崎田は頭を撫でつつ抱きしめ続けるのだった。
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