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第41話
既に勃ち上がっている崎田の陰茎が、ノックするように萩山の窄まりに何度か当てられる。
「さっきしたばっかだから、もう挿れられちゃうな」
「ばか、言うな……っ」
「はは……赤くなってるの、可愛い」
どこからか取り出したスキンをくるくると装着して、すぐにそれを押し込むと、すぐに先端が飲み込まれる。
奥に行かず、確かめるように何度か往復していると、萩山がじっとこちらを見つめていることに崎田は気がついた。
「萩山、どうした?」
「……なんでもない」
「気になることがあるなら言えよ、な?」
にゅぷにゅぷと入り口を擦っていると、耳まで赤くした萩山が絞り出すようにぽつりと呟いた。
「……おく、まで、欲しい」
その一言に、崎田の呼吸が止まった。
欲しがられることが、こんなにも心臓を締めつけるなんて思ってもいなかった。
彼の急なヒートを紛らわせるため、という名目で、いつも自分が主導で萩山を導いているつもりだったのに――
今、完全に引きずり込まれているのは自分の方だ。
震える息を押し殺しながら、ゆっくりと腰を押し出す。
ぬるりと、音を立てて奥へ進むたびに、萩山の喉が細かく鳴った。
「……ここ、だろ」
掠れた声で崎田が囁くと、萩山が小さく頷いて、目尻を濡らす。
その表情が、あまりにも綺麗で、崎田の胸の奥で何かが弾けた。
「うん、そこ……」
萩山の声が、かすかに震えていた。
その響きだけで、崎田の下腹がどくどくと熱くなる。
ゆっくりと押し込むと、狭い内側が呼吸するみたいに脈を打った。
奥へ進むたびに、身体の奥と一緒に感情までも絡め取られていくようで、自然と息が乱れる。
「……っ、萩山」
名前を呼ぶと、彼の目が細く揺れた。そのガラスのような目に、自分が、自分だけが映っている。
たまらなくなって、奥まで突き当たると、萩山の喉が小さく鳴った。
その音が、二人の理性をゆっくりと溶かしていくのだった。
奥まで押し込まれるたびに、萩山の身体がびくびくと震える。逃げようとするわけではなく、むしろ求めるように腰がわずかに動いた。
その無意識の反応が、崎田の理性を削っていく。
「……そんなに、奥が好きか?」
低く押し殺した声が、耳のすぐ近くで響く。
萩山は何か言いかけたが、声にならなかった。
ただ、潤んだ目で彼を見上げてくる。その視線が、苦しいほどに真っ直ぐで。
触れ合うたびに、萩山の奥底で何かがひとつずつ剝がれていく。
萩山の中にある「萩山由樹」が、少しずつ崩れていくような、そんな感覚だった。
それでも、不思議と怖くはなかった。
この人に委ねてしまってもいいと、身体の奥で誰かが囁いていた。
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