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第41話 激しいセックス後のあるある(side保)

「大丈夫ですか? 保先輩」 「……辛う、じて?」 いやー、参った。 気付いたら寝てたらしく、朝起きたら十時だった。 慌てて飛び起きたら、腰と尻に激痛が走った。 修平に介護状態でシャワー浴びさせて貰って、着替えさせて貰って、朝ご飯のおにぎりをもしゃもしゃ食べて、支えられながらバイト先の居酒屋に向かった。 その頃には腰痛は落ち着いて、仕事はなんとか動けたけど、尻はずっとヤバかった。 結局、キュッと入口に力を入れた方がまだマシだとわかったから、肛門筋を締めるという、何だかマナートレーニングでもしているような状態をずっとキープしながらバイトした。 ただ、今回居酒屋のバイトに入っているのは昼の時間帯だけで、十一時から十四時までのランチタイム、たった三時間。十四時以降は一度店が閉まるので、店を閉めたら俺は次のバイト先に向かう。 普段は自宅から一度、学校近くのここまで来なくてはならないからそれが面倒だと思って、この時間は他のバイトを探すつもりだったんだけど。 ……今日は救われた……!! 「お疲れ様でーす」 「お疲れ、たもっちゃん」 「お疲れ様~」 一番外が温かい時間に店を出れば、そこには昨日見た光景が。 つまり、俺の状態を心配して、修平が迎えに来てくれたのだ。 「保先輩、お疲れ様です」 「あ、修平。ほら、もう大丈夫だから、気にしないで良いよ」 俺はわざと腕を横に大きく振って、腰が大分回復したことをアピールした。 「いえ、家まで送っていきます」 「本当に大丈夫なのに」 俺の家は学校から近くはないし、送らないでいいって何度も断ったけど、修平は俺の気がすまないんですって言って引かなかった。 居酒屋の前で問答するのも迷惑なんで、ひとまず駅に向かって歩く。 「先輩の家の最寄り駅って、五つ先の駅で乗り換えでしたよね?」 「うん。そっから先は、快速で……八駅目」 ただ送るだけだと交通費だって勿体ないだろう、というニュアンスを含めながら様子を見る。 修平は、ニコニコしながら明日の日曜日に放送される将棋の対局について話していて、何を考えているのか全くわからなかった。 駅につき、修平がそのまま改札に入ろうとするのを、腕を掴んで止め、もう一度「やっぱりここまでで良いよ」としっかりはっきりキッパリ伝えたのだが、修平は「家にいても暇なんで」と笑って、俺に腕を掴まれたまま改札に入ってしまった。 「俺んち、結構遠いよ?」 「保先輩と一緒なら、楽しくてあっという間ですよ」 多分修平が考えているより遠いと思うんだけど。 マジで暇なのかな? 厚意を断り続けるのも失礼だ、と思い直して、俺は修平の横に並んで歩き、ホームに降り立った。

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