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第3話 陸と流星

「ああ、ダメですよ。 誰が入ってくるかわからないんですから。」  店の奥の事務所で陸が迫っている。相変わらず、見境なく盛かるので、流星が困っている。  スーツが似合う元固い会社員だった流星は、今は店の経理を引き受けている。元々公認会計士を目指していた。  まじめな青年が、ヤクザの陸の罠にはまって、 『ボーイズバー ジュネ』でメンズストリップをやる羽目になった。  ある企業の経理課にいたころ、同僚の使い込みを見つけた。同僚に情けをかけて隠蔽しようとして、陸の組織に捕まった。同僚の山下もグルだった。 「おまえが気に入ったんだよ。」  背が高くスタイルも顔もいい流星は、陸の好みど真ん中だった。スーツの似合うイケメンは、ゲイのヤクザにがんじがらめにされた。 「課長、山下の帳簿がおかしいのです。」 パソコンの画面を見せると 「いいんだよ。山下の担当はT会の息のかかった鈴木ソリューションだ。あまり騒ぎ立てない方がいい。金払いはいいんだろう?」  会計ソフトを改竄させられ、損金の誤魔化しを 流星の責任にされた。 「山下はどこですか? 出社してないようですが。」 「彼は有給を消化している所だ。 君も同じ立場なんだから、不備があったら共同責任だよ。」  取引先の鈴木ソリューションが倒産した。 計画倒産のようだった。 「鈴木ソリューションに行って来い。 もう、債権者が集まり始めた。ハイエナだな。」  流星は、一人、倒産した社屋に出向かされた。 「ひどいな、何も残ってない。」  荒らされた社屋にいたのは、広域指定暴力団T会、若頭、安藤陸だった。 「おい、これどうしてくれるんだ? 焦げ付いた借入金返済計画はあるんだろうな。」  組の若いもんに人払いさせて、奥の事務所に連れ込まれた。 「何するんだ!やめろ!」  抵抗も虚しく流星は陸に犯された。陸の魔性の瞳に魅入られた者は、逃げられない。 「おまえ、可愛いね。 この件、何とかする方法もあるにはあるが。」  そう言いながら、手がシャツの中に入って来た。男との性体験は初めてだ。 「おまえ、女を抱くのか?」 筋肉質でセクシーな陸に、流星も興奮してきた。  不本意にも,熱いくちづけを交わしてしまう。

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