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第4話 強姦
奥の部屋には大きなベッドがあった。
常時、こう言う事に使われているらしい。
倒産して債務整理の債権者が踏み荒らした様子はなかった。
メガネをかけたスーツ姿の流星を、一目で気に入った陸の卑怯なやり方だった。
「おまえ、可愛いね。
男に抱かれるのは、初めてか?
恋人はいるの?もちろん女だろう?」
流星には付き合っている経理の恋人がいた。
「ここは、風呂もあるんだよ。
一緒に入ろう。」
「止めろ!気持ち悪い事するなよ。」
テーブルにワインがあった。目の前でコルクを抜いてグラスに注ぐ。
「一杯飲めよ。落ち着くぞ。」
流星はグラスを取り上げて一気に飲んだ。ワインは目の前で抜栓したものだ。油断した。
気がつくとベッドに拘束されていた。どこから持って来たのか、手錠でベッドに繋がれている。
服を着たままだ。添い寝している陸という男。
シャツを脱いだ。筋肉質で広い背中一面にマリア観音の入れ墨。
(綺麗だ。)
そんな事を思う自分が信じられない。
「俺に何がしたいんだ?」
「男同士のセックスを、おまえとしたい。」
そう言ってシャツのボタンを一つずつ外していく。時々くちづけしながら。脇腹から舌が上がってくる。
ピクンピクン、身体が反応するのが恥ずかしい。さっきのワインに何か仕込んだのか、グラスか。抱かれたい心境になった。
「はあ、はあ、止めろ!」
「どうだ?男に舐められるの気持ち悪いか?
おまえの彼女とやるのと、どっちがいい?」
「悪趣味な質問だな。
あの、正直に言っていいですか?」
「いいよ、本音で言って。
どうしても男が嫌なら、無理にはしないよ。
おまえみたいなタイプは、好きになってからじゃないとイカないんだろ。」
「陸さん、ごっつくて身体デカいじゃないですか。俺、抱かれたくなった。」
「ほう?おもしろいこと言うね。」
「でも、ゆっくり愛し合いたい。乱暴なのは嫌だ。強姦とかじゃなくて、ちゃんと愛してください。」
手錠を外され拘束を解かれた。
頭を抱えられて優しくくちづけされた。
流星は初めて身体が疼くのを感じた。
彼女とのセックスでは、こんな気持ちになったことはなかった。
服を脱ぎ、抱き合って二人の硬くなったモノを
一緒に握られてイッてしまった。
「まだ、兜合わせだけだよ。
まだまだよくなるよ。」
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