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第5話 初めて
めくるめく快楽の波に我を忘れている。
流星の少し長い髪に手を入れて抱き寄せる。
耳元で、
「すごい感度だな。
女にもこんなに感じるのか?」
自分でも初めての感覚に戸惑っている。
「いや、こんなの初めてです。
今まで女とは、ワンパターンで。」
キスして、胸を揉んで乳首を吸って、指で穴を探ってペニスを入れる。ただ,それだけの行為で、
セックスなんてつまらないモノだ、と思っていたと言う。
「何かセクシーな下着を着けて誘われても、
ゲンナリするだけでした。
陸さんの割れた腹筋、とか大胸筋とかの硬い筋肉がそそるんです。」
こんなに夢中になる身体は初めてだ。
「グニャグニャした女の身体が気持ち悪い。
俺、おかしいんですかね?」
「じゃあ、後ろに入れるのはどうかな?」
「怖いです。痛くしないで。」
「なに、処女の女みたいな事言ってんだよ。
ヤクザは怖いぞ。
ヤクザのセックスは麻薬だ。
離れられなくなるぞ。」
陸はこの男、流星に惑溺していく自分を感じていた。自分のそばに置きたい。
横領の一件は金とコネで揉み消した。
そして流星を店のストリッパーとして売り出した。真面目なサラリーマンのキャラで、姫たちに人気が出た。
それまで囲っていた零士に恋人が出来て、別れの予感があった。
「零士の独特の妖艶さ、はダントツだ。
だが可愛いこの男も手放したくは、ない。」
陸は事務所でも、どこでも、男を抱く。しかし、零士には抱かれるのだ。零士だけにはネコ。
そんないきさつで、流星は今はこの店の経理担当の、イケメンリーマンなのだった。
店のイケメンはほとんど、陸のお手つきだった。ウォーキングダンサーの外国人も,合法的に餌食(?)になっている。
「陸って絶倫なのよ。そして時々ネコ、だからたまんないわ。」
外国人にはすこぶる、評判がいい。モテるのだ。
そんな下の緩い環境も、個人差がある。
零士の恋人、草太は、一途な純愛を貫いている。
浮気者の零士も、草太と結ばれてからは自粛しているようだ。
「やだやだ、愛は自由、と言っても
爛れた関係は悪臭を放つ。
美しい愛だけを見ていたい。」
ウォーキングダンサーのソムチャイが言った。
ゲイも多いがヘテロもいる。
「彼女が出来て結婚したら、身体を張った仕事からは足を洗いたい。」
お客さんと恋に落ちて結ばれたカップルも、案外たくさんいる。
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