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第10話 ボーイズバー ジュネ

 今夜も賑やかで華やかな夜が始まる。 一人ぼっちで寂しい姫も、ここに来れば暖かく迎えてくれる男たちがいる。  姫たちが続々とご来場。 真ん中のランウェイをムキムキマッチョのイケメンたちが半裸で歩く。身体を鍛えて自信がある者しかここを歩く事は出来ない。  厳しい審査を経た者たちだ。 「ルッキズム? だってみんな綺麗な男が好きでしょ?」  支配人の零士が堂々と答える。 ドアを開けて入って来る姫たちは千差万別。  彼女たちを姫と崇めお迎えする美しい男たち。 粒揃いのホストたちだ。 「いらっしゃい。今夜も来てくれたね。 あなたと夢の時間を分かち合いたい。」 そう言ってエスコートする零士の綺麗な長い指。 手を繋いで席まで案内する草太の可愛らしさに姫はもうメロメロだ。  他にもベテランのシンと蓮が戻って来た。 イケメンがマナーをわきまえてかしずく高級感のある店だ。  以前は民度の低い客層で、枕営業が当たり前だった。店がホストに枕を強要していた。  今も、セクシーな営業ではあるが、誘い方が上品になった。それにつれて客層も変わった。  もうウォーキングダンサーの小さな下着に札を挟んでペニスを握るような客はいない。  その分店側が手当を増やした。 「君たちの身体は、芸術品だから、無闇に触らせないで。大切にしてください。  自由恋愛まで、店側が口を挟む事はしないけど、くれぐれも自分を大切に。」  零士の方針だった。外国人が多いダンサーたちは、プライドを持って働けるこの店を大事にしている。 「零士のストリップが見たいわ。」 という姫たちの要望で、たまに脱いだりする。  経理の流星のファンも多いので、たまに出番がある。  陸も、草太も、大目に見ている。  ウォーキングダンサーが半裸で練り歩く。 声がかかれば客席に付いてくれる。場内指名だ。  肩を抱いて筋肉を触らせてくれる。 「素敵!腹筋も触らせて。」  姫たちに触られて勃ちそうだ。小さな下着の上にキチンとアラビアのようなサルエルパンツを穿いて席に来るが上半身は裸だ。  セクシーな男たち。立ち居振る舞いは抑制されている。一線を越えるのは店の外で、だけだ。 「ああん、あたし、欲しくなっちゃった。 誰が私を愛してくれるの?」 「姫、わたくしめ、ではいかがでしょう? グエンです。」 「あなた、素敵ね。綺麗な目をしてる。 ホテルを取るわ。あと、シャンパンも。」

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