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第15話 ジャズバー
夜も遅くなるので、太郎を連れていけない。
零士と草太に声をかけた。
「美咲の弟がピアノ弾きなんだ。
あのジャズバーに一度連れて行ってくれないか。」
零士が、
「ああ、美弦なら知ってるよ。
美咲と同じ、幼馴染みだ。いつ来る?」
「連絡してやって。」
本人に許可を取ってあるので、メールアドレスを伝えた。零士がホストクラブの支配人をやっているのを知って驚いている。
『ジュネ』にも一度来いよ。とメールを送った。
早速、零士に会いに先に『ジュネ』に来た。
「いらっしゃいませ。ご指名はごさいますか?」
「あ、零士さんを。」
「あの、支配人は指名は受けないので。
今、呼んできますね。」
零士と一緒に可愛い感じの草太が来た。
「よく来たね。紹介するよ。
俺の恋人、草太だ。一緒に暮らしてるんだ。」
「え?恋人?男の人だよね。」
「美弦は知らなかったの?
俺、ゲイなんだ。
あ、この店はゲイバーではないよ。
ホストクラブ。
だから、女性のお客さんが多いだろ。」
美弦は驚きを隠せない。
「美弦は今,何やってんの?
え?無職?」
「そう、俺ピアノの仕事がしたいんだ。」
「オッケー。ウチでやりなよ、弾き語り。」
「俺、弾けるけど歌えないよ。」
「何か一曲、弾いてみて。」
零士の強引な推しに、ピアノの前に座った。
クラシックしか弾けない。
(どうしよう?)
悩んだ末、ショパンの「別れの曲」を弾き始めてしまった。
店の雰囲気に合わない。別れを思い出させる曲。弾き終わると
「ブラボー、ブラボー。」?
大きな拍手で立ち上がったのは、あのアレックスだった。
零士が
「いつ帰ってきたんだよ。パリから。」
「さっき着いたばかり。飛んできたんだよ。
零士に早く会いたくて。」
「嘘つけ!」
美弦に向かって
「いらっしゃいませ。
アレックスよ。あなたのアレックス。」
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