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第18話 美弦にゾッコン?

 零士が気になることを聞いた。 「この頃、アレックスが美弦にゾッコンらしいね。」  アレックスが美弦の家に、入り浸りらしい。 零士は心配だ。 「美弦は親元で暮らしてるから、ご迷惑をおかけしてるんじゃないかな。」  案外、美弦の母親は、アレックスを気に入ってるようで、優しく受け入れていた。 「おはよう、美弦。」 気がつけばすぐそばで顔を見ているアレックスがいた。 (近けえよ!離れろ!) 飛び起きた。この頃アレックスは母親に気に入られて、毎朝、部屋に入れてもらう。朝のルーティンになっていた。 「アレックス、早いね。 毎朝来なくても・・」 「おお、ボクは美弦を愛してます。 わかって、この気持ち。」  夜職のアレックスが眠る時間を削って、美弦の家に通って来る。    徹司は話を聞いてものすごく怒っている。 今日もアレックスが美弦の家に押しかけている、と話が入って来る。  子供の頃からずっと美弦は姉を見てきた。 「美咲は、検見川道場の零士さんが好きなんだと思ってた。」  そんな姉が、同じ大学の徹司を連れてきた。 「いいのよ。徹ちゃんはまじめにここで暮らそうとしているのよ。応援してあげなくちゃ。」  山形の田舎から、草太と一緒にこの町の大学に入った徹司を、支えたいと思うようになった。  初めは零士の、主治医とのおかしな関係が心配だった。2才年上の零士が同じ大学に入ってきた時も、不器用そうな零士から目が離せなかった。胡散臭い主治医は、大学の教授でもあり、零士を精神病に追い込んだように見えた。  零士を守りたい。零士が草太と付き合い始めた。徹司は草太のために探偵まで雇ったのだ。  美咲と徹司は相談しているうちに距離が近づいた。付き合い始めた零士と草太が本気なのを知って、祝福することにした。  一緒にいることが多くなった。徹司は仕送りが多いので、遊び人に見えた。 「徹ちゃんは、女の子にモテるね。 決まった恋人はいないの?」  その時初めて美咲を意識した。 「この頃、よく話すのは美咲ちゃんだけだな。」

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