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第33話 児童ポルノ
堂島孝平の児童ポルノは中々進まない。
陸はわざと遅らせている。焦れて再三、堂島が連絡してくる。時として脅しをかけてくる。
「ゴウラァ、オドレ舐めとんのか?」
「待ってくださいよ、足のつかないガキなんか飼っておけませんよ。無茶言わんでください。」
小綺麗なタワマンの一室に東南アジアから買い付けて来た子供を置いておくのは難しい。
数人の子供が売られて密入国して来た。
「どうやって連れて来たんです?」
「漁船だよ。シャブでも何でも届くよ。」
痩せこけて青い顔をした10才くらいの子供がいた。他にも数人、隠してマンションに連れて来た。
若いもんに
「風呂に入れろ。そして飯だ。やさしく、な。」
グエンとソムチャイに通訳を頼んで、子供と対峙した。
子供たちは、諦めの目をして虚ろだ。
彼らの好む食事をソムチャイに用意させ、食事となった。
「ここがどういう所か、わかってるのか?」
頷いた一番、年嵩の子に聞いてみる。
「自分たちの境遇をわかっているのか?」
しばらく話していた。
「わかってるって言ってます。
日本人には精一杯尽くせ、と言われている、と。」
ここに連れて来られる前から、商売をやらされていたという。
「国でも、客は日本人が多かった、と言ってます。」
グエンが通訳するのはベトナムから来た子供なのか?
痩せた子供に手を伸ばすと、一瞬震えて、あとは力を抜いて抱きついて来た。
「いつもこんな事やってんのか?」
「シャチョーサン、スキデス。」
「やめろよ、もう言わなくていい!」
陸は普通に高校まで行けた。買われた身でも、飼い主は優しかった。子の無い親に買われて育った陸。買われる前までの壮絶な虐待。今でも痛みを忘れない。
育ての親は安藤組の極道だった。それでも我が子のように育ててくれた。育ての親には感謝している。
自分の子を売る親がいる。陸は身にしみている。
こんな商売をする奴も、客になる奴も胸糞悪い存在だ。
「俺が天誅を下す。それがヤクザになった俺の本懐だ。」
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