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第39話 胸騒ぎ
流星は、ずっと胸騒ぎが治まらない。陸に言われた決算書類も手に付かない。
人払いをして女子供はここにはいない。みんな軽井沢へちょっとしたバカンスだ、と喜んで行った。
粋なスーツに身を包んで惚れ惚れする男前の陸。
「出かけて来るよ。」
軽くハグしてくれる陸に、流星は、離れがたい思いでいっぱいだった。
「一人で出かけるのか?お供も連れないで。」
いつもなら若いもんを二人ほど連れて行くのに、今日は一人だ。さっき倭塾のタケルが来ていたがすぐに帰った。
(タケルのあの胸の膨らみ。
チャカ、持たせたんだ。陸!)
居ても立っても居られない。ダメ元で零士に連絡した。
「うん、わかった。俺も今すぐそっちに行くよ。」
草太は置いて行こう。いやな予感がする。
新宿の外れに堂島一家の事務所がある。都会に珍しく一戸建ての要塞のような建物だ。
家の周りに監視カメラが林立している。
(どんだけ用心深いんだよ。小心者め。)
門扉のカメラに向かって手を振った。
物々しく門が開いたので車ごと乗り入れた。
玄関から孝平が自ら出て来た。
「いやぁ、ガキの世話ってのも面倒だな。」
地下室に案内される。
(フン、都会でこの広さ。地下室?
なあ、どうよ。)
薄暗い階段を降りて鉄格子の檻に出た。中では子供たちが抱き合って震えている。こんな怖いところに入れられてすっかり萎縮している。
「こいつら、これから何されるか、わかってんだよ。このベト公はあっちで商売やってたんだよ。
プロだ。親に売られたんだけどね。
そっちのタイのガキは親が売春婦だから小さい頃から見てた。何やるか知ってんだよ。
あっちの方は俺より詳しいってよ。」
まだ、小さいのにディルドで無理やり広げられて、毎日ディルドを大きくして行く。客を取るための身体にされて行く。肛門の裂傷は治る暇がない。下痢するので食べ物もあまり与えられない。
生まれた時から、性具に改造されて行く。
グワッハッハ、と笑う孝平に虫唾が走る。
「あの子は日本人みたいだな。」
「ああ、千葉の方で下校途中に攫って来たんだと、C国人の女が言ってたな。綺麗なもんだ。
まだ手付かずだ。どうだ、陸、試してみるか?」
「俺はいいよ。それよりここから出してやりたい。商品だ、汚すなよ。ここは汚ねぇ。」
もっと清潔で明るい部屋は無いのか、と聞いた。
「ああ、上のリビングに連れてくか?」
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