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第42話 オールドスタイル

「陸ちゃんよう、俺に弓引く気か? 大事な商品なんだよ。明日納入だ。 あのタワマンに連れて行く。 大臣は高級なのがお好きなんだよ。」  金目当ての組員が二人、孝平を援護してチャカを向けて来た。陸は丸腰だ。 「物騒なもん、お待ちだ。 手荒な事は止めましょうよ。」  そういいながら、間合いを詰めて相手のチャカを掴んで捻る。同時に後ろ回し蹴りでもう一人のチャカを蹴り飛ばす。  安全装置の外し方も知らないど素人、だった。 所詮,金で買われたチンピラだ。  素早い動きに、呆気に取られて止まってしまった。孝平がいない。 「クソ、どこ行きやがった。」  顧客管理名簿を取り上げないと、根っこを断ち切れない。    外からドカドカと壁を壊している音がする。 タケルは元暴走族の顔で仲間に集合をかけた。  ピークの時は一声二千、と言われる仲間だった。二千台の車が集まると言われていた。  その流れで今は「大日本倭塾」に合流している者も多い。    孝平のこの家は伊達に要塞と言われる訳ではない。頑丈な鉄のドアと壁。さすがヤクザ様だ。 防犯(?)には力を入れている。  タケルの片腕、阿部さんが、小型ユンボで壁をぶち壊しながら入って来た。  阿部さんはもう50才は超えているだろう。 職業は解体屋。壊すのはプロだ。 「頑丈な鉄骨が入ってやがる。 デカい重機でぶっ壊してぇな。」  開いた壁の穴から命知らずがワラワラと入って来た。 「陸さん、お久しぶりです。」 「気を付けろ!中にまだ、チンピラが数人居そうだから。孝平組長もいない。探せ!」 「奴らチャカ持ってんぞ!」 「俺たちも陸さんから預かったチャカがあります。」 「あ、みんな、この庭に捨てろ。 マッポに見つかったら持ってるだけでパクられる。」  200人を超える元暴走族が建物の周りに集まっている。手に持った武器は捨てさせた。  警察に捕まらないように。凶器準備集合罪、でパクられる。警察は常にこちらを敵視しているから小さな瑕疵も見逃さない。    どさくさに紛れて子供たちを乗せたレクサスは大勢の族車に見守られながら、先に出発した。  行き先は陸の店、『ジュネ』だ。 〜パピラカパピラカ〜 ミュージックホーンを鳴らして賑やかだ。  年配の元族が 「久しぶりに血が騒いだぜ。 もういい年のジジイだけどよ。」  永ちゃんのタオルを首に巻いて、笑っている。 「永ちゃんも70過ぎたけど カッコいいままだしな。」  元暴走族は大先輩ばかりだった。 「どうもクラシックないでたちの人が多いと思ったよ。」

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