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第44話 子供たち
子供たち3人は、ジャズバーに預けた。常連もいるし、櫻子さんもいる。
「ウチでお泊まりしましょう。」
自宅に連れて行った。
「キミ、酷いケガしてる?」
オムツをしているベトナムの子供は、下着が血で酷く汚れている。
「病院に行こう。海浜病院の大介先生なら大丈夫。」
夜間診療をしてもらった。
「酷いケガだ。痛かっただろう。」
優しく手当てしてくれた。数針縫う裂傷だった。機能は損なわれていない。
「人工肛門にしなくても、すみそうだ。
大丈夫だよ。頑張ったな。」
櫻子さんが付き添った。
残る二人の子供はジャズバーのマスターが店を閉めて自宅で面倒見た。
しばらくして落ち着いたようで、日本人の子供が「お家に帰りたい。」
と言い出した。
「キミは何年生?名前とか住所とか何か言える?」
マスターの問いかけに頷いた。利発な子供だ。
所轄の警察にも問い合わせてみる。
同じ県の少し離れた小学校の児童だった。
「三年生。9才になった。」
車に無理やり乗せられて連れて来られた、と言う。
マスターが
「徹ちゃんの子供と同じ位の年だな。
そう言えば、あの子も誘拐を防いだって言ってた。」
ケースが似ている。
草太は状況がわからないまま、置いていかれて、不安だった。徹司の家に来ている。
「なんか訳ありだって零士が出かけちゃったんだ。」
犬のマックスを連れて徹司の家にきた。
太郎がマックスに抱きついて喜んでいる。
「どうやってここまで来たの?」
「自転車の後ろのカゴにはいって俺におんぶして来たんだ。重たいけど、おとなしかったよ。」
「マックス、いい子いい子。」
マックスはにっこり笑った。
「ワオーン。」
「そうか、零士も心配だな。
美弦は何かきいてないかな。」
家には美弦もいた。ほとんど住み着いている。
「今日は店の方、臨時休業だって言われたんだけど。」
草太も
「そうそう、俺もそう言われた。
でも、陸さんから呼び出しがあって零士が出かけたから、なんか悪い予感がするんだ。」
不安そうな顔をしている。
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