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第45話 帰還
店に陸が帰って来た。
上着を脱がせて流星が甲斐甲斐しく世話を焼いている。
「俺も帰るよ。草太が待ってる。
きっと心配してるなぁ。」
「ああ、今日はありがとな。
まだ、ガキらの事があるから一件落着とは言えねぇけど。」
酷い暴力沙汰にならなくて良かった、と零士もホッとして、店の駐車場に停めたフィットに乗って帰って行った。
「こっちに来いよ。」
流星を呼ぶ。ソファに座っている陸の首に抱きついて膝に乗った。
「大丈夫だっただろ?」
「うん、まだなんかありそうで怖いんだ。」
キツいくちづけで口を塞がれた。
慣れ親しんだ陸の愛撫。こんなに待ちどうしかったなんて。
「怖かった。陸を失うかと思ったら怖かった。」
「初めてじゃないだろ。
この前入院した時よりは,怪我も少ないし。」
「ヤクザってツラいな。いつも心配しなくちゃならない。」
まぶたに滲んだ涙にキスしてくれる。
「ベッドルームに行こう。おまえを抱き潰す。」
陸も頬を銃弾が掠めたり、興奮していた。
「握って、流星。」
陸が甘えて来るのがたまらない。
店の奥の事務所に、風呂とベッドがある。
いつもは落ち着かないが今日は誰もいない。
「明日も休みにしよう。流星に溺れるよ。」
「いいよ、おいで。」
抱き合って転がりあって愛し合う。
身体を全部愛したい。最後は一つになる。
ベッドに座って優しく流星のメガネを外して髪をかき上げる。
顔を掴んで顎を持ち上げて熱いくちづけ。
陸の唇を感じる。噛み付くような激しいキス。
いつまでも離れないで唇の感触を味わってしまう。舌を絡ませて記憶に刻むように。
陸の唇が耳を噛んで首筋を這う。
「ああ、くすぐったいよ、やめろよ、耳は弱いんだ。」
意地悪な顔をして陸は流星の弱いところを攻める。
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