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第49話 誘拐劇
この前のカチコミに陸と行動を共にしていた、零士が秋吉の名前を聞いて顔色を変えた。
「秋吉。俺の人生の前半を滅茶苦茶にした奴。
俺をずっと病気だと言って自由を奪ったんだ。」
話を聞いて陸も流星も驚いている。
「草太は一応経緯を知ってるよ。」
徹司も知っているだろう。同じ大学だ。
吉田がやって来た。情報通だ。また、新しい情報を持って来たのか。
「バックにC国がいるってよ。
かなりヤバい状況だ。奴らは手段を選ばない。」
「そう言えば誘拐犯の車からはC国語が聞こえてきたと近所の人が言ってたな。」
小学校の通学路を子供たちが歩いてくる。
不自然に車が停まっていた。後部ドアに女が立っている。運転席には男がスタンバッている。
下校してくる子供たちもまばらになって、一人児童が後部ドアのすぐそばを通った瞬間、女が囲い込むようにドアの中に子供を押し込んだ。
と、その時数人の男たちが車に飛び込んだ。対向車が真っ向からぶつかって来た。
すごい衝撃で車が正面衝突して止まった。
運転席の男は引き摺り降ろされて押さえ込まれた。C国語で何か叫んでいる女も押さえ込まれた。
「この野郎!誘拐の現行犯で逮捕する。」
私服警官が大勢集まって来た。近隣の民家に協力してもらい、潜んでいたのだ。
太郎はそばにいた徹司に抱きついた。
「俺、やったよ!」
「ああ、すごいな。」
パトカーがたくさん集まって来て、やじ馬が大勢取り囲んでいる。太郎は囮だった。
うるさく喚き散らしている女を婦人警官が制圧した。
「あんたたち、許さないよ。国際問題ね。
訴えてやる。戦争になるよ。」
「やかましい!ピーピー猿か?」
婦人警官は強い。喚き声もモノともせずしっかりと制圧して手錠をかけた。
草太と美弦が全部スマホで動画を撮った。
警察の取り調べで今までの誘拐が明らかになる。この辺りの行方不明の子供たちは、ほぼこいつらが拐った事がわかった。
「秋吉?わたし知らないよ、そんな男。」
「いや、おまえは知ってるな。
男だなんて言ってないのになぜわかる?あん?」
日本の警察は優秀だ。その取り調べは厳しく続いた。
「国に帰ったら、あんたたち訴えるから。
国際問題よ。」
「ああ、帰れたら,な」。
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