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第57話 学校生活

 太郎は中学生になって急に背も伸びて大人っぽくなった。同級生がガキに見える。  周りにカッコいい大人の男がたくさんいるからか、学校に来るとガキっぽくて青臭い生徒ばかりに見える。  帰りに昇降口で声をかけられた. 「ねえ、太郎、たまには遊ぼう。」 「えっ?おまえの事知らないけど。」 隣の二組の女子。林玲奈だと言った。 「今日は部活ないでしょ。うちに来る? 今日は親いないから。」 「え、いいよ。帰らなきゃ。」  何だか馴れ馴れしく擦り寄ってくる玲奈という子に太郎は逃げ腰だ。  腕を掴んで小さい声で 「いい事、しよう。教えてあげる。」  引っ張っていかれた。 断るなら力づくでも、断れたのに、太郎は玲奈について行ってしまった。  意外と近くの家だった。誰もいないようで玲奈はドアの鍵を開けて俺を引っ張り込んだ。 「お、じゃま、しまーす。」  靴を脱いで声をかけて上がった。 リビングのソファに座って、玲奈がいきなり抱きついて来た。 「何すんだよ。やめろよ!」 「フン,キスしていいよ。みんなしたがるよ。」  制服のスカートを捲り上げて下着を見せて来た。  思い出した。この子の噂を聞いた事があった。 三年生にいたずらさせている一年生がいるって。 触らせて、見せてくれるって。 「触っていいよ。みんな触りたがるよ。 先生だって。」  玲奈は 「私、みんなにモテてるんだ。」 と言った。 「やらせてあげるとみんな喜ぶんだよ。 玲奈の事、大好きだって。 太郎も触っていいよ。」  いきなり股間を握られた。 「やめろよ!俺はいらないよ。帰る!」  靴を履くのももどかしく玄関を出て来た。 帰る途中の公園で何回も吐いた。 (気持ち悪い。ゲェー!)  無理やりキスされたのも気持ち悪かった。 手を取ってパンツの中に誘導された時、何かグチャッとした感触がまた気持ち悪かった。少し尿の匂いがした。 (学校で会ったらいやだ。キモい。どうしよう。) 「ただいまぁ。」  徹司は太郎の異変に気づいた。 「どうした?何かあったか?」 徹司の顔を見たら涙が溢れて来た。

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