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第59話 精通・性欲
太郎は徹司から10才の頃、一緒に風呂に入った時、精通について教わっていた。
初めての経験は6年生の時だった。いじっていたらペニスが固くなってパンパンになって何かが出た。すごく気持ちよかった。世界中を愛せる気がした。ピクピクしている自分の亀頭を擦った。徹司から聞いていたから驚かなかった。
でもしばらくの間、いつもその事ばかり考えて、手がいつの間にかいじってる事が多くなった。
「徹司、俺馬鹿になった。
いつもちんちんいじりたくなる。」
徹司は頭を撫でて
「大人になる準備だよ。
太郎は順調に大人になってるんだ。
赤ちゃんを作る準備だ。」
徹司の持ってるポルノ写真で女子の身体の構造を教えてくれた。写真じゃわかりにくかったが。
「ここに固くなったちんちんを入れて白いのを注ぎ込むと赤ちゃんが出来るんだよ。」
何となく、わかったような気がした。女の身体は気持ち悪い、とだけ思った。
だから玲奈が誘ってくる意味が何となくわかった。
「女は何がいいんだろう?
射精って女はしないんだろう?
どこが気持ちいいんだろう?」
太郎にとっては謎だらけだったが、実際にやってみたいとは思わなかった。
女の子の身体なんて触りたいと思わない。
「徹司、俺どこか、おかしいのかな。
女が嫌なんだ。」
「はて?困ったな。
徹司は女の子大好きだったよ。
田舎から出て来て大学で女の子、よりどりみどりだったんだ。モテ期が来たーってね。
何人もガールフレンドがいたよ。美咲と出会うまでは、ね。」
徹司はあの頃を懐かしく思い出していた。
「太郎、セックスっていうのは愛してる人とするのが一番気持ちいいんだよ。
キスするだけでも幸せだろう?」
「俺、ホントのキスって知らない。チュッてするのしか知らない。
あの玲奈っていう子がチュッてしたのは気持ち悪かった。」
その内、大好きな人と出会う時が来るよ、と徹司は言うけど。
いつも思うのは、陸の裸の背中とちょっと見えたおへそ。そして低い声で話す時の喉仏の動き。
抱きつきたいのは陸、だった。
徹司が、息子の初恋の相手が極道だなんて知ったらとんでもないだろう。片想いだが。
太郎だって自分の気持ちが恋だなんて気づいていない。ただ、思い出すのは陸の顔だった。
キツい眼差し。冷たい瞳。
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