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第61話 初めて

「えっ?陸?」 「ああ、初めてだったか、ディープキス。 こんな風にやるんだよ。」  強く吸われて舌が入って来た。口の中を舐め回す。逃げ腰の太郎の舌に吸い付いて引き出す。  絡めて強く吸われる。 「あ、はあ、息が出来ないよ。」  ようやく離してくれた。太郎はもう死にそうな気分だ。 「どうだ、飯でも食うか?」 「そんな気分じゃないよ。 もうチンチンが固くなって痛いんだ。」 「可愛いなぁ。ホテルにでも行くか?」 「俺、13才でも、入れるの?」 「車のまま、入れる所もあるよ。」  駐車場に停まったままで、とんでもない事になった、と太郎は焦っている。  窓を叩く音がした。 「陸、何やってんですか。 店の営業、始まりますよ。」  外から流星が怒っている。陸は車から降りて助手席のドアを開けてくれた。 「残念だな。また、今度にしよう。」  ニヤッと笑って歩いて行ってしまった。 「太郎、大丈夫か?帰れるか?」 「うん、大丈夫。多分・・・。」  陸の後を追いかけて行く流星が羨ましかった。 (早く大人になりたい。陸とホテルに行けるように。)  自転車に乗ってフワフワと夢のように家に帰った。まだ、唇に陸の感触が残っている。 「お帰り。太郎どうした? 顔が赤いぞ。」 「ううん、何でもない。」  自分の部屋に閉じこもった。ベッドに倒れ込んで,まだ硬さの残る自分のペニスを握った。  また、勃ちはじめる。 (ああ、陸、陸に触られたい。身体中見られたい。)  マスターベーションした。いつもしているけど、今日のは興奮度が桁外れだった。  実際に触れ合った唇が震える。 (ああ、陸!世界中の人が幸せになるように! 今、俺は最高だ。)  一瞬の快楽だった。ティッシュペーパーで受け止めた自分の精液。ペニスがドキドキと脈打って、その度に射精する精液が強烈な快感だ。 (陸とお互いに握ったらどんな感じかな?)  妄想が尽きない。 「おーい、太郎、夕飯だぞ!」  徹司の声が思いをぶち壊す。 初めて徹司が、疎ましいと思った。

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