76 / 198

第76話 暴露

「おうっ!銀座のお姉ちゃん連れて来たぞ。」  孝平伯父貴が酔っ払って『ジュネ』にやって来た。少し崩れた感じの和服の美人を連れている。  陸からせしめた金で、銀座で豪遊して来たらしい。連れているのは銀座のホステスか。  ちょっと老けてはいるが,まあまあの美人だ。 「おうっ、シャンパン持って来いよ。」  蓮とシンが席についた。 「陸、呼んで来い。」  陸は店の様子が見えるミラーの奥から苦い顔をして出て来た。 「いらっしゃいませ。」 今日もバリっとしたスーツがよく似合ういい男だ。席について、 「伯父貴、こちらの方は?」 女性は陸を見て,怪訝な顔をしたが 「あ、ハナと言います。」 (えっ?) 気のせいか⁈ 妹と同じ名前。どこにでもある名だ。  品のない和服の女性は、年の頃、40代後半か、50代か。孝平伯父貴に肩を抱かれてこちらを見た。 「ハナちゃんだ。銀座の『花包み』に入った新人だよ。美人だろ。幾つに見える?」  座っている陸に大声で話しかける。 「女性の年を聞くのは失礼ですよ。」 (どう見たって50は過ぎてんだろ。)  陸は客のたたずまいに荒んだものを感じていた。孝平は調子に乗って 「ハナちゃん可愛いだろ。」  肩を抱いて身八つ口から手を入れて乳房を揉んでいる。 (店で下品な事は止めろ!) 「伯父貴、おいくつになられました?」 「わしか。わしはもうすぐ還暦だよ。 野暮な事きくねぇ。」 (ああ、年寄り同士、お似合いだよ。) 「ハナちゃん、イケメンが勢揃いだよ。 どうだ、欲しい男見つかったか?  今夜はハナちゃんと3Pやりたいんだよ。 誰か,来ないか?」 「大胆ですねぇ。ウチは、枕は御法度なんですよ。お持ち帰りは本人次第ですが。」 (こんなおばさんとなんか誰も行かねぇよ。) 「やあね、孝さま。そんな体力あるの?」 いきなり孝平の股間に手を伸ばして掴んだ。 「孝さま、元気出るの? バイアグラでも飲んだら。」 ひとしきり下品な性談義が続いた。 「せっかくのシャンパンです。 みんなで乾杯しましょう。」  陸はホストたちに声をかけて、席を盛り上げた。じゃんじゃんシャンパンを空けた。  したたかに酔っ払った孝平が、 「このハナちゃんの亭主は、死刑囚なんだと。 おそろしい女だな。  帰って来ない男を待ってるんだとよ。」

ともだちにシェアしよう!