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第87話 結婚指輪?
今、問題になっているのは、児童ポルノに使うために違法に日本に連れてこられた子供たちのことだった。
「施設ってのはどうなってる?」
「普通は行政の児童相談所の施設だな。
これは違法じゃないけど、中々難しいんだな。
外国人だから、なあ。」
「で、問題は、未だにガキの斡旋が必要な奴らがいるってことだよ。」
「斡旋って?児童ポルノの、か?」
客がいるって事だ。
「探って見るよ。それまで子供たちはマンションの寮に置いてやってくれ。」
「もちろんだ。手厚く面倒見てるよ。
みんな勉強が大好きなんだぜ。」
弁護士を交えての話し合いは、前向きな提案で終わった。
息抜きにタバコを吸おうと階段を上がって来た所だった。
陸が一番会いたい人が息せき切って走って来た。手を繋ぐ。
「陸の手、大きいね。
この指輪、カッコいい。いつもここにつけてるね。」
「ああ、俺の父さんがくれたんだ。」
「お父さん?」
「甲斐っていう父さんだ。俺を育ててくれた。
俺は甲斐が本当の父親だと思ってる。」
陸は指から外して太郎に嵌めてくれた。
「大きくてユルユルだ。」
薬指をやめて親指に嵌めた。
「親指がちょうどいい。ラッパーみたいだ。」
指輪にはトルコ石が埋め込んであった。
「太郎にやるよ。結婚指輪だ。」
手を握られてキスされた。
「結婚指輪?」
「ああ、俺と太郎の。」
「でも、流星は?」
「そうだな、流星も俺の嫁だ。」
太郎は、陸の首に抱きついた。
スキンシップもだいぶ、ハードルが下がって来た。
(可愛い、文句なしに可愛い。)
何度もキスしてしまう。
「もう帰るよ。美弦に言ってくる。」
爽やかに階段を降りて行く太郎をずっと見ていた。ここは裏口だ。ジャズバーは表側にある。
徹司が来ていた。キスしてるところを見られなくて良かった。徹司に殺される⁈
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