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第93話 名簿

「おい、こんな奴もいるのか。」  陸は名簿から覚えている限りの名前を書き出した。国会議員。大臣経験者だけでなく、現役大臣もいた。あの岩橋剛助は外務大臣だ。  他にも政調会長、議長、副大臣、信じられない顔ぶれだった。  そしてマスコミ関係者。アナウンサー。新聞記者。テレビによく出ているコメンテーター。  いわゆる有識者。落選して今は政治家では無いが世襲で重宝されている元大臣。 「なんか、裏金とかで財界との癒着が言われてる議員もいるなぁ。」 「腐り切ってるな。写真見ろよ。 みんな変態だ。」  かろうじてばら撒いて落ちた写真が手元にある。みんなに相談しようと、集まってもらった。  陸たち組のもの以外にも、零士や草太、徹司や吉田もいる。アレックスもいる。  変態写真鑑賞会になってしまった。 「オオッ、ノンノン。許せません!」  アレックスが目を覆っている。 「よく、写真撮ったなあ。」 「秋吉っていう変態がいるんだよ。 俺も動画撮られてて、脅された事ある。」  零士の言葉に 「世間に流失してないか?」 「構わないよ、自分のした事は隠さない。」 「零士のは、愛する人との濃厚なベッドシーンだろ。見たい人は多いよ。売れるかも。」  草太が恥ずかしそうにしている。 「やめてよ。想像しないで!」  零士に頭を撫でられて恥ずかしそうな草太が可愛い。零士の動画の相手は幸いにも、草太だけだった。 「良かったな、浮気の証拠にされなくて。」  みんなにからかわれても零士が抱き寄せてキスしてくれたからニコニコしている。  羨ましそうな陸に、流星がそっと寄り添う。 「ま、名簿には錚々たる顔ぶれが載っていた。 でも、証拠は警察にある。  俺たちに何が出来るかな。」 「晒すか?」 「晒し者にしたいけど、一時的なスキャンダルで終わってしまう。もっと根本的に叩かないと。」  陸は自分が暴力に親和してしまう事を危惧している。 「極道は手っ取り早く解決したいのよ。」 拳を突き出す。 「ダメだよ、一過性に終わったら、奴らきっと握り潰すよ。権力ってそういうものだろ?」 「秋吉ってのを何とかしないと。 C国とも繋がってるって。」 「この被害にあった子は日本人っぽいけど。」 「誘拐も絡んでるな。 「日本人の子の注文が多いって、聞いたことあるよ。」 「それで誘拐か。酷えな。」

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