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第97話 ム所仲間
陸は、秋吉が母親と繋がっているのが不愉快だった。どこで繋がったんだろう。秋吉とム所仲間とは思えない。男と女だ。刑務所も全く違う場所だ。
いらない縁は、思わぬところで繋がる。出所した者が秋吉のム所仲間の女房だった。
食い詰めてム所仲間に頼る。それが秋吉に繋がった。
臓器売買目的で子供を誘拐している中国人の夫婦がいた。捕まった嫁のほうが陸の母親とム所仲間になった。
誘拐は重罪だが、何故かこの国では、中国人は軽い量刑で済んだ。取り調べでは臓器売買には繋がらなかった。
ム所でみんなの嫌われ者だった里菜は、この中国女に何かと助けられた。何かにつけて親切で,里菜はたくさんの借りを作った。
出所してからも無一文の里菜が頼るのはこの女だけだった。
なぜか、女は日本に仲間がたくさんいる。金回りもいい。そして児童ポルノと臓器売買の闇に飲み込まれていく。
「中国人が多いわ。
商売やってる中国人は金も持ってる。」
働かなくては生きていけない。50才過ぎても雇ってくれるのは場末の風俗だけだった。
性風俗。そこでも扱いは最底辺。荒んだ里菜のもとに札びらを切って秋吉が現れた。
「いつも指名してくれて、すいませんねぇ。」
「いや、もっと高級な店を紹介するよ。
いい客も,ね。」
紹介されたのがあの堂島孝平だった。
里菜の働く場末のキャバクラに秋吉が、堂島孝平を連れてきた。
「お、可愛いホステスだ。」
里菜の身体を張ったサービスにすっかりのぼせ上がってしまった。薄暗い店では里菜は可愛く見えたらしい。
堂島は太客だった。いつも帯封の付いた束を会計のたびに出す。
「いつも、ありがとうございます。
この後、どこかに行きます?」
アフターに付き合うと言う。
しばらく孝平は里菜のもとに通ってきた。有る時ホテルで里菜の素顔を見てしまった。
(なんだ、こいつ。一体いくつだ?)
酷い老婆がガラスに写っていた。
そんな孝平もドジを踏んで破門になった。ヤクザだったのだ。
里菜は同僚の子供を勝手に攫って、秋吉の仕事を手伝った。
(子供が足りない。臓器売買よりはマシな仕事よ。そんなに酷い事はないわ。
私は良心的よ。中国に売り飛ばすわけじゃない。
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