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第105話 李星輝
陸の抱えている子供たちは、6人。
優秀な弁護士が付いて、在留許可も取れた。
陸は里親になってもいい、と思っていた。
職業柄、課題は多い。独身だし。流星では認められない。同性の壁。
(俺はやっぱり、真っ当な市民じゃねえんだな。
税金はたっぷり収めてるんだがな。)
人助けは柄じゃねえ。
「臓器を取るって怖い話だ。
移植で助かる命だとしても、健康な身体から抜き取るってのは、どうなんだ?」
吉田が言っていた。
「隣のC国は、人口が多いから人の命が軽いのか?」
「ウチにいるガキどもは
臓器なんか奪わせねえぞ。守ってやる。」
あの時、強制送還なんかさせたらどうなったかわからない。
「極道より、酷えな。」
こうしている今も、児童ポルノなどで子供が犠牲になっていると思うとやりきれない思いだ。
「吉田、マスコミにリークするのはどうだ?」
「マスコミは信用できない。
ニューメディアを通して訴えるか?
あの名簿の政治家や有名人の裏どりをしよう。」
SNSで公表するのはいい方法だ、と考えた。
捏造されないように語る。信頼出来るアナウンサーやキャスターをピックアップする。
生半可な覚悟ではできない事を充分納得してもらう。
裏どりに時間がかかった。プライバシーに関わる部分の許諾にも。
オールドメディアには渡さない。偏向報道を平気でやる、腐ったジャーナリストが多いのだ。
そしてマスコミにも蔓延るC国人の多いこと。
陸は、港の李星輝に相談してみることにした。
C国の事だ。
「胸糞悪い名簿を見たんだよ。
俺が今保護しているガキらも、児童ポルノの被害者なんだ。李も何か聞いてないか?」
李はわざわざ訪ねて来た陸に、ただならぬ事情がある事を察していた。
「この前まで、ヤクの密輸で大変だった。
フェンタニル、きな臭いだろ。」
「やっぱり、持ち込んでるのか?」
「ああ、お上はかくしてるが、な。
ゾンビタバコとして流行り出した。
タバコはハードルが低いから。」
「お互いにヤバい事に顔突っ込んでるな。
ほんと、貧乏くじだ。」
李は、皆まで言わずとも分かってくれる盟友だった。
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