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第112話 デート
数日後、陸が公園のベンチに座っている。
向こうから息せき切ってかけてくる太郎。
「陸、大丈夫だったの?」
「ああ、冤罪だ。俺は何もしてないから。」
胸に飛び込んで来た太郎を受け止める。
「徹司が、陸はそんな事をするわけない、って
庇ってくれたんだ。」
笑いながら、徹司も歩いて来た。
「ああ、陸に限って、不同意のなんてあるわけ無いと思ったんだ。
みんな,同意してやってくるだろ?」
陸がモテるのをよく知っている。
「今日は保護者付きですか?」
「ああ、太郎はまだ、そういう年なんだよ。
子供だ。でも、美弦から怒られたよ。」
美弦もやって来た。隣に座って
「いい加減、過保護は卒業しろって。」
「徹司がデートしてもいいって。」
「今日だけだぞ。」
一日中、一緒にいられる。
「どこに行こうか?」
「車でドライブ。
美弦も徹司とデートするって言ってる。」
「やあ、お二人さん、やっとですか?」
「やっとってなんだよ。
友達と映画でもみようか?って事なんだよ。」
徹司と美弦はやっと距離が近づいたようだ。
太郎が一途に陸を思う気持ちに影響されたみたいだ。
「じゃあ、俺たちはレクサスで行くから。」
二人で歩いて行く。強面のキリリとした陸と、
背は高いが幼さの残る可愛い太郎とで手を繋いで。
「陸、美弦と徹司ってどう思う?」
「ああ、お似合いじゃねえ?」
「俺たちは?」
「ああ、お似合いじゃねえ?」
「ははっ、おんなじだ。」
陸にはまだ片付けなければならない事が山積している。あの岩橋剛助の娘の一件。肩を荒立てる気はないが、岩橋が厄介だ。
まだ、児童ポルノに関わっているらしい。
「ガキ商売は許さねぇ。」
今回の事で藤尾さんに挨拶を通す。
「子供の失踪事件が増えているらしい。
調べてぶっ潰せ。俺の力を使っていい。」
と言われた。
藤尾さんに言われたら、「男、意気に感ず」だ。
俄然,陸はやる気が出た。
帰ると流星が飛んで来て
「陸、また、何かやろうとしているでしょ。
命無くすような事はやめろよ。」
「おまえは、いい、女房だな。」
肩を抱いてやる。
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