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第113話 消えた子供
あのオークション場のあるタワマンは、ほとんどがC国人の所有になっている。
あの誘拐に絡んだC国人の女は、ここでは世話係だ。以前から働いている。
「5年前にもらった赤ん坊、他の人がほとんど国に連れ帰ったよ。少しだけ日本に残ったね。
今5才。保育園で育ってるよ。C華園。日本にたくさんあるよ。
私はもう少し大きい子を見つけて来るのが仕事。すぐ働けるように。」
前科持ちのC国人の女に、保護観察とかは付かないのか?また同じ犯罪に手を染めようとしている。
風呂に入ってさっぱりした服を着せられ、タワマンの最上階に連れてこられた子供たち。
お互いに初めて会う。悲しい被害者仲間。
やまねけんとと名乗った、幾分しっかりした子供は、キャバクラの託児所から攫われて来た。
母親はキャバ嬢。父親はヤンキーだった。
太郎を攫って陸に酷い目にあわされた、入れ墨坊主だった。膝から下をセメントで固められて、
翌日助けられたヤンキー。
なぜか、あれ以来、陸に懐いていた。本物の極道の怖さを知って、陸に心酔している。
その日、ジュネに飛び込んで来たのは、あの入れ墨坊主とロン毛デブだった。
「陸さん、助けてくれ。
俺のガキがいなくなった。
変な噂を聞いたんだよ。」
山根勝利と名乗った。ロン毛デブは山根のツレ、坂本裕司というらしい。
奥の事務所で話を聞いた。ヤクザの事務所に初めて入る二人はビビっているようだ。辺りを見回している。
「おまえらは、どこにもケツ持ちがいないのか?」
「いつもゲーセンでぶらぶらして、カツアゲとかやってました。たまに解体の仕事とか。
不景気で外国人が解体の仕事、安く受けるのでこっちに回って来ない。嫁にたかって、生きてました。」
嫁はキャバ嬢だという。子供を預けて働いている。その託児所から子供がいなくなったらしい。
「ヒモ亭主か、いい、身分だな。」
「息子がいなくなったんです。小3で、山根健斗って言います。嫁に似て美少年なんだ。」
「何で攫われたと思うんだ?」
「なんか、同じ小学校で誘拐が多いんで。」
「誘拐って、犯人からコンタクトがあったのか?」
「いや、車で連れ去られるのを見た人がいたんで。」
「他にも子供がいなくなってるんだな。」
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