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第125話 赤ちゃんの行方

 胸糞の悪い話だ。C国から聞こえてくる臓器売買の話。世界中でニーズがあるのも、また現実だ。医学の発展で、臓器移植が普通に行われるようになった。  いつも適合する臓器が足りない。特に小さい子供。  今から5年前、偶然子殺しが増えた。 「そんなにいらない子なら、有効活用したらいい。」  C国では、臓器移植が劇的に増えた。 ウイグル自治区で残虐な行為がおこなわれているとアムネスティでも取り上げられた。  C国では、内政干渉だと一蹴した。 そしてドリーム事件に繋がる。内密に出産が行われた。もう記録も確かではない。  それでも事件を追っている医療関係者がいた。 高瀬医師。吉田に紹介された。 「5年前ですね。あの年は特に内密に出産するケースが多かった。  ボランティア団体「ドリーム」が窓口になって里親を斡旋した事になっている。」 「ああ、よかった。誰にも見つからずに出産出来て。」  その女子高生には出産まで母親が付き添った。 妊娠に気付いた時には六ヶ月を超えていて中絶ができなくなっていた。 「子供の顔は見ない方がいいですよ。  つらくなるから。」  赤ん坊は、里親に渡すからと性別も知らされず生まれてすぐに取り上げられた。 「ドリーム」の世話人が言う通り、赤ん坊を抱くこともなかった。 「ママ、赤ちゃんに一目だけでも会いたかった。 赤ちゃんを抱っこしたかった。」  その女子高生は、その後一月あまり胸の張りに苦しめられた。母乳が溜まって張ってくるのだった。子供が母乳を吸う事で子宮の戻りも早くなり、順調に回復するのだが、飲んでくれる子供がいない。張るのがツラくて搾乳するとまた張ってくる。 「赤ちゃんが母乳を欲しがってるんだわ。」  女子高生は罪深さに泣いた。そんな思いも踏み躙られて赤ん坊はどこへ行ったのか? 「ドリーム」は警察に事情を聞かれても 「慈善事業をしているのです。 不幸な子供を救っているのです。」  警察から里子の名簿の提出を要求された。 提出された子供147人のうち100人以上がC国に渡っていた。  実在もわからないC国の里親。無事に里子に出された者は数人だけだった。他の子供は日本で育てられたようだ。  今となっては全てが闇の中だった。 吉田が調べるまでは,忘れられた存在だった。 「今更追求されても困る人がたくさんいますよ。 わざわざ寝た子を起こすことは無い。  みんな恥だと思って隠しますからね。 プライバシーの侵害だ、と訴えられかねません。」  高瀬医師の言葉に、吉田は、もはやここまでか、と観念した。  

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