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第126話 デジタルタトゥー

 吉田は調べを進めるうちに,暴く事が正しいのか?と悩み始めた。  話は逐一陸に報告された。 「ネグレクトよりタチが悪い。個人には手に余る案件だ。」  陸も,自分がこれほど執着するのは何でだろう、と思う。 「つくづく因果な性格だ。不幸な子供を放って置けない。」 「もう、いいんじゃないか? まして、もう生きて無いかもしれない子供のことなんて。何でそんなにこだわるんだ?」  吉田も手を引け、と言う。 港の李星輝の撮った動画の事を話した。 「コンテナの臓器を抜かれた子供の動画を見たんだ。人間のする事じゃねえよ。」 「極道が言うんなら、かなりだ、な。」 「おい、ネットに流出してるぞ!」 倭塾の若いもんが見つけた。 「陸さん、これヤバいんじゃね?」 「バンされる前にスクショ撮っておいたから。」  あのコンテナの写真だった。動画をダウンロードしたものだったから画像は荒い。 「うえーっ、エグいなぁ。」 「誰がネットに流したんだ⁈」  吉田が 「ドリーム事件の子供って生きてたらこのくらいか?」  ネットでは大炎上だったがその写真はマスコミは一切報道しなかった。報道管制が敷かれているのか。 「オールドメディアは腐ってるな。 テレビも新聞も。」  翌日、また、ネットは炎上した。 「児童ポルノ。写真所持でも犯罪!」  子供を裸にして口に自分の逸物を突っ込んでいる岩橋剛助の写真だった。 「フェイク画像だ。こんなのあり得ない。」  すぐに消されたが、しっかりスクショされた。 デジタルタトゥーは瞬く間に世界に拡散された。 「パパ!」  大学にいた娘のすずは、壁面に取り付けられたプロジェクターいっぱいに映し出された父親の淫らな写真に叫び声を上げた。  学生たちがみんなで見ている。 「酷い!泣いてる子供に無理やりこんな事やってる。外務大臣の岩橋だよ。」 「ミスJ大のすずちゃんの父上だ!」  すずはその場で意識を手放した。

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