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第128話 戦争⁈

「戦争が始まりそうだ。」 藤尾さんが調べさせると約束した。  数日後、内閣調査室から呼び出しがあった。 「反社が出入りしていい所じゃねえんだろ。  ここ、すげえな。」  人当たりのいい流星を連れて来た。広大な敷地の一角にある厳重な建物。   警官が立番している。秘密の場所にしては目立つ所だ。 「藤尾さんからお話は伺っております。 どうぞこちらに。」  いかにも普通のサラリーマン然とした流星に似合う場所だ。慇懃無礼な役人が対応した。 (俺は苦手だなぁ。)  会議室に通された。  国旗、日の丸が飾ってある部屋だ。 「おかけください。 単刀直入に申し上げますと、この問題は解決済みでございます。」 「え?どう言う意味です?」  話はこうだった。 5年前のドリームが斡旋した赤ん坊はC国に5人。後の142人と言うのは数字の間違いだったという。日本で暮らしているのは40人ほど。C国に行った子供は合わせても10人くらいだろう。  C国に行った子供は全て合法的で、そもそも初めから人数が違った。 「名簿とかはないのですか? 名簿と照らし合わせたのですか?  日本にいる子供と会わせて欲しいんですが。」 プライバシーの問題で、それは出来ないという。  コンテナで死んでいた子供たちの身元はわかったのか?という質問にも 「国際問題なのでお答えできません。」 という事だった。  国の厚い壁。何も本当の事は見えて来ない。 「無闇にC国を刺激しないでください。 戦争になりますよ。」  日本は核武装していないから、戦争になったら負ける、と脅かされて帰って来た。 「吉田ぁ。納得できたかよ。」 「出来るわけねぇだろ!」  店の奥の事務所でやけ酒を煽った。 流星も怒っていた。 「お国のやりかたですかね。汚い。」 「俺たちに出来ることって何だろうな。」  陸には全ての子供を助けるなんて出来ないが、 居ても立っても居られないような気がしていた。 「あの児童ポルノの一件は解決したのかよ。」

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