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第132話 点が繋がる?

 ジュネの寮になっているマンションに一部屋、与えられて荒井左千夫は住んでいる。  もう少し広い区画に、陸の助けた子供たちが住んでいる。みんなそれぞれ学校に行ったり、国の家族に連絡が取れる子供はリモートで話をしたりしている。世話係もグエンの妹ホアの他に、ウォーキングダンサーの身内が数人手伝ってくれる。  みんなホアに影響されて保育士志望だ。 食堂に改装した別の区画に、住人で希望者は食事をとりに来る。割と緩やかな規則らしきものがある。保護された子供たちは順応性が高く馴染んでいる。事前に予約すれば食事が出来る。  ここには大阪から来たバーテンダーの健一も住んでいる。左千夫と健一は親しくなった。  ジュネ,で会うので顔見知りだ。 「こんにちは、健一さん。 俺、ホスト向いてないって言われたけど バーテンダーはどうかな?」 「何言うてんの?バーテンダーは顔が命、でっせ。イケメンでないと雇われへんで。」 「健一さんがギリ、ですか?」 「失礼なやっちゃなあ。」  二人で吹き出した。それからボーイのサーブの仕方を教わった。  真っ白な大判のナフキンでコルクを押さえて、静かに抜栓する方法や注ぎ方、などなどいろいろなマナーを教わった。  食堂ではいつも陸の助けた外国人の子供たちに懐かれて賑やかな左千夫に、健一は好感を持った。部屋で二人で酒を呑んだりした。気を許してお互いに自分語りをするようになった。 「何で健ちゃんは東京に来たの?」 「わしか?わしはある人を探しとんねん。」  妹が5年前に自殺した、という。その直前に出産したらしい。その時の医者を探している、と言った。 「妹の生んだ子ぉに会いたいんや。 おかんは出産に付き添った言うてた。  その時の医者、高瀬て名前だけ聞いとる。」 その医者に,生んだ子の消息を聞きたい、という。母親は娘が自殺した事で鬱病になってしまった。 「ウチが悪いんや。子供、認めてやれば良かったんや。世間の目ぇ気にして娘を死なせてしもうた。」  母親は泣いて暮らした。 意外な所で点が繋がる。健一は最初に陸に相談するべきだった。探偵の吉田が探しているのも高瀬医師だったから。  高瀬医師はあのドリーム事件を独自に追っていた、陰謀に気づいた数少ない医者だった。  とんでもない事の片棒を担がされた、と後で知った。それから独自で証拠を集めて来た。

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