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第137話 左千夫とアレックス
どんな気まぐれか?アレックスが左千夫を構っている。一緒に店の近くのGジムに通い始めた。
マンションの食堂にも顔を出して、筋肉のつくメニューを注文する。
「ササミとブロッコリーね。」
日頃から鍛えているウォーキングダンサーたちのメニューを知っているので,食堂のおばちゃんは喜んで協力してくれた。
アレックスはなぜか、左千夫の部屋に通って来て筋トレと食事に付き合ってくれる。
「左千夫、お給料もらったらもう少しカッコいいスーツ作ろうよ。僕が選んであげる。」
マンションの噂を陸が聞きつけた。
「なんだよ、アレックス、
左千夫みたいなのが好みか?」
「違いますよ。あまりにも垢抜けない男で、
僕が何とかしたくなったんだ。
見ていてくださいよ。見違えるようになるから。そうしたらホストに昇格してあげて。
きっと指名が殺到するよ。
左千夫はお金がないんだ。
陸さん資金出してくださいよ。」
「ああ、そうか。店のためだな。」
金庫から一束札をくれた。帯封付きの束。
次の休みにスーツを仕立てに行った。
「なんかこの頃、左千夫がカッコよくなったって評判だよ。
食堂のおばちゃんも、ホスト仲間もみんな注目し始めた。
「アレックス、すごいな。」
左千夫も
「俺、筋トレ中、ずっと頭の中でロッキーのテーマがガンガン流れてた。」
「それですごいやる気満々だったんだな。」
「人生でこんなに頑張った事はないよ。」
三ヶ月で見違える体になった。
腹筋が割れてお客さんが触りにくる。注文の酒を運んでいても、席に呼ばれることが増えた。
陸が零士と相談して、左千夫はホストに格上げされた。
すずが久々に来店して驚いている。
「左千夫なの?ホントに?
カッコよくなったね。髪切った?」
「ええ、全部アレックスのプロデュースです。」
「センスいいわ。
ヘアスタイルだけでこんなに変わるのね。
でもアレックスはセックスは教えてくれなかったでしょ?
私がコーチしてあげようか?
セックスが上手じゃないと、男の魅力は半減しちゃうのよ。」
実は左千夫はゲイのアレックスに、充分教えを受けていた。左千夫はノンケだが、アレックスはベテランだった。
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