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第149話 利権
この前、摘発されて多くの政治家や有識者、芸能人が晒された。しかし、スキャンダルは長くは続かない。みんな忘れられていく。
忘れてもらいたい人間も多い。
「また、あのオークションがあるようですよ。」
闇のルートで情報は広がる。前回は陸も情報を掴んで潜入したが,今回は面が割れている。
警察ではないので出来る事にも限界がある。
吉田が聞いて来た情報では、今度は郊外の元ホテルだった別荘で、オークションが開催されるようだ。
吉田の知り合いの芸能ゴロに来た招待状。直々に送られて来たという。他にもかなりの大物が呼ばれているという。
「ボクがロリコンだって、なんでわかったんだろうな?」
芸能界に長い、但馬庄司。
昔はコント作家だったがいつのまにか
芸能界の重鎮に成り上がっていた。
何か世間を騒がす事件には必ず物申す、うるさい存在だった。あの岩橋剛助の逮捕劇でも、かなり辛口のコメントを出した。
「人間じゃ無いね。子供をいたぶるなんて。
恥を知れ!」
そんな但馬の裏の顔。ロリコン。ダブルスタンダード、二枚舌。
今夜は陸の店、ボーイズバー ジュネ、に取り巻きを引き連れてご来店だ。人気芸人を引き連れて大騒ぎする。取り巻きの女たちのためにイケメンをご所望だ。
「いらっしゃいませ。」
支配人の零士が案内する。
「ああ、相変わらず綺麗だな。
でも俺の好みより、ちょっと年だな。」
「は?お気に召さなくて光栄です。」
「いつも毒を吐くなぁ。
そこが零士の魅力なんだが。」
取り巻きを大勢連れて大盤振る舞いだ。今日のスポンサーは、メガソーラーで大儲けしている地元企業、光建設の高杯社長だった。
「おい、シャンパン持ってこいよ。
こんな田舎じゃ大したもん無いだろうけど、何があるの?」
バカにしていたが分厚いシャンパンのメニューを見て少しビビったようだ。
「ほう、アルマンドあるじゃないか。
持って来て。」
「一ダースでよろしいですか?」
(え?みんなでたらふく飲んだらいくらになるんだ?)
メニューには、アルマンドはゴールドで20万、
ブラックラベルだと一本120万と書いてある。
「ゴ、ゴールドで。一ダース。」
田舎社長は頭の中で計算した。
(240万だ。他にもチャージとか、指名料とか、取られるんだろ!)
北関東のホストクラブとバカにしている、但馬庄司の顔を見た。
(この野郎,バカにしやがって。)
但馬庄司は、この近くの別荘で明日開かれるオークションが目当てだった。
但馬の顔が利く県会議員の石井にキックバックをして利権をもらう約束だった。その弱みでこの社長がスポンサーなのだ。
政治家が背後にいればメガソーラーの認可がおりやすい。
みんなガチガチに絡んでいる。
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