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第151話 檻
「言われた通りに店の託児所から、攫って来たよ。」
ハナが背中をど突きながら子供を二人連れて来た。子供は腫れ上がった顔をしている。
打たれたのと、泣き疲れたの、で酷い顔だ。
「ダメだよ。子供を汚しちゃ。」
「元々汚いガキなんだよ。アル中の母親が、面倒見ないから風呂にも入ってない。
耳の後ろが垢だらけだよ。臭いし。」
(全く、いらないのにガキなんか作るから。)
子供は、元ホテルだったという別荘の地下で裸にされて檻に入れられた。
似たような子供が十数人。裸でみんなオムツをつけられている。檻がいくつか並んでいる。
「オレ,赤ん坊じゃねえよぉ!」
抵抗した子供はこっぴどく、殴られた。
「顔はやめとけ。売れなくなる。」
檻が一つ一つ,ホームエレベーターで上に運ばれて行く。
大広間にはすでに客が集まっていた。
あの但馬庄司がいた。取り巻きの芸人もいる。
「おまえたち、今日は金が必要だぞ。
払えるのか?クレカでもいいとよ。」
「いやあ、足りなかったら但馬さんに貸してもらうつもりですよ。」
「ふざけんなよ。
俺は自分の分しか持ってないよ。」
並んだソファの間に檻が運ばれて来た。
怯えて丸くなって転がる子供。
客の被虐性に火がついた。ペドフィリアはなぜかサディズム愛好家が多い。胸の悪くなる話だ。
秋吉も前回の手入れを警戒して、金で動く半グレを家の周りに集めている。
ハナが子供を怒鳴りつけている。何か、棒のようなもので檻の間から突いて威嚇している。
「大人しくしてないと,後で酷いよ!」
ハナは18年もの懲役を済ませてきたのに、何の反省も無かった。子殺しで、ム所ではいじめ抜かれた。矯正など出来てはいない。
「ガキなんか可愛いと思った事、一度もないよ。」
秋吉は、ハナこと今関里菜を興味深い患者だ、と思っていた。元精神科医。
サイコパスの興味深い症例だ、と観察していた。
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