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第155話 若い奴ら
李星輝が、仲間を連れて駆け付けた。
喧嘩には慣れているのか,静かに集まって来た。
ほとんどが日本生まれの在日だ。中国人と韓国人。子供の頃から差別や迫害を受けて来たから、みんな結束が固い。
仲間がいなければ生きて来れなかった。日本人でも陸のような極道は偏見を持たない。世の中の冷酷さを知っているから。国は違っても気持ちは繋がる。
陸はずっと死刑囚の息子という烙印に縛られて来た。養子になっても偏見は続いた。世間に隠れて生きていても、父親のやった事で常に後ろめたい。
ヤクザしか生きる道はなかった。悪どい事もやった。そんな陸と、傷を舐め合うような友がいる。熱い友情が生まれる。李星輝だ。
港の華僑のボス、梁宋に認められ、李星輝は
赤ドラゴンを立ち上げた。半グレ集団と言っても
みんな背負っているものがある。
「赤って言っても、別にコミュニズムではないよ。故国の旗を報じているわけでもない。
赤は勝者の色。日の丸の赤だって綺麗だろ。」
李星輝は赤ドラゴンのステッカーを見せた。みんなの車に貼っている。赤地に龍。
はみ出し者はみんな友達。以前陸にヤキを入れられた、入れ墨坊主たちも今では仲間になっている。
「陸さん、お久しぶりです。
俺たち在日じゃないけど、赤ドラゴンに拾ってもらったんで。」
党員を名乗る男にそそのかされて、太郎を拉致した。結局、党員は見つからず陸に膝下をコンクリ詰めにされてヤキを入れられた過去がある。
「中々使えるいい若いもんになったじゃねぇか?」
「アルファード潰されてあの時は参りましたよ。」
陸はそのあと、まとまった金を届けさせた。
仕事に差し支えないように、田舎では車は必需品だ。
「感謝してます。あの後、車買えたんで。」
陸の面倒見の良さに若いもんがついて来る。
ある時は酷薄で冷徹な陸だが、優しい一面も持っている。
保護した子供たちも懐いている。
「いつか、落ち着いたら、流星と所帯持って
あのガキらを養子にするかな。」
そんな事も言っていた。
今は、太郎の成長から目が離せない。
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