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第156話 奇襲

 あの別荘を包囲している。陸の仲間たちだ。 静かに忍び寄って秋吉の用意した半グレたちを制圧した。半グレたちは涙金で雇われただけのチンピラで、こんなケンカには慣れていなかった。  体術の得意な倭塾の塾生に簡単に捕まって、すぐに音を上げた。  何人かの武装したC国人がいた。油断しきっている。肩にかけたAK47だが、使いこなせていないのがわかる。  本国では下級警官には銃器は持たせてもらえなかったから扱いに慣れていない。  トカレフの中国版54式を持たされても、威力の高い弾薬と共に誤発射が多く、貫通力が強すぎて自爆する。  日本にいる党員は、銃撃など少ないから油断していた。 「日本人は脅しに手槍(拳銃)を向ければビビって逃げ出すよ。」  事前にそう言われて安心していた。 今日の児童売春のオークションは、臓器売買と並行して進めているC国のビジネスだった。 「出入り口は、ホテル正面、広いです。 脇にドアが二ヶ所。施錠なし。  裏は森に続いている。薄暗く道は無し。 鬱蒼とした雑木林です。  歩きにくい。道なき道を行くしかありません。」  インカムに次々に報告が入る。 「脇のドアは駐車場から続いています。 駐車場には多数の車。運転手はいない模様。」  外の見張りらしき党員は簡単に制圧出来た。 こちらの仲間は防弾チョッキを着用してチャカを持っている。チャカは大抵リボルバーだ。  インカムで連絡をとりながら進んで行く。 「一斉に蜂起しますか?」 「党員の人数と武器を確認してからだ。 子供たちはどこにいる?」  オークションの客たちはホテルの部屋にそれぞれ戦利品の子供を連れて籠っている。  世話係が数人、忙しそうにオーダーを聞いている。一番端の部屋に李たちが踏み込んだ。 「な,なんだよ。今お楽しみ中だろ、失礼だ。」 テレビでよく見る玉梨と言うコメンテーターだった。震えて泣いている女の子の腕を掴んで頬を張った。 「痛い!打たないで!」  半裸になった玉梨がよだれを拭きながら女の子を抱きしめている。裸の子供のオムツをむしり取っている。  李星輝の頭に血が上った。 玉梨の胸ぐらを掴んで引きずり起こした。 「何するんだよ。私は金,払ったよ。 おまえ誰だよ?」  胸ぐらを押さえて拳で殴った。

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