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第157話 救出
後ろから来たドラゴンの仲間が、毛布で女の子を包んだ。外に待機している李たちのバスに連れて行く。バスには他にも助けられた子供たちが続々と集まっている。
李の片腕、呉白日と嫁が子供たちの面倒を見ている。C国語で話している。
「ひでえな。」
股から血を流している子供を看る。
「後で海浜病院に連れて行くからな。」
そう言って温かい飲み物を渡す。
バスの中で甲斐甲斐しく働いているのは、呉白日だけではない。ケンもいた。李の恋人。
飛び込み選手の原田健一郎だった。
運ばれて来る保護された子供たち。一様に半裸だ。裸で値踏みされていたのだろう。
陸が部屋の並んでいる2階に上がって行った。
倭塾のタケルたちも続く。
廊下に武装した党員が数人いた。これでも見張りだったようだ。役に立っては、いない。
逃げ腰ながらも手に持った銃を持ち直して、
こちらに向ける。
一瞬早くタケルのチャカが炸裂、小さいながらも殺傷能力のあるリボルバーだった。
ここにいるのはまだ若そうな兵士とも呼べないガキだった。
「弾数の少ないレンコン(リボルバー)で十分だな。撃ち合いにはならないだろう。」
逃げた者は放っておいて、二人置き去りにされた奴を縛り上げた。
「ボスはどこだ?おまえたちのボス!」
廊下に並んだドアを片っ端から、蹴り開ける。
中には醜いジジイたちがそれぞれ子供に襲いかかっている。よく見ればみんなテレビで見知った顔ぶれ。
「お、竹山じゃん。
おまえ、日本が嫌いなんだってな。
俺は日本が大好きなんだよ。
俺、日本人だから、よ。」
服を脱いで無様なたるんだ体を晒してパンツ一つになった竹山が,今まさに子供に乗っかろうとしていた。
子供は10才くらいか、足をバタバタして抵抗していた。竹山が殴った痕が足に痣を作っている。
「止めろ!ボクに触るな!」
威勢のいい子供を陸が優しく抱き取った。
竹山を蹴り飛ばして
「大丈夫だよ。助けに来たんだ。
ウチに帰ろう。」
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