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第168話 ゆっくり

 今はゆっくり太郎を感じたい。 その固く引き締まった身体に手を滑らせる。 腕を回して抱き寄せて深いキスをした。 「風呂に入ろう。」 スーツを脱ぐのを珍しそうに見ている。 「いつもスーツだね。 それも特別カッコいいスーツ。 陸は大人なんだ。」  陸の膝に倒れ込むように抱きつく。 陸の顔が見たい。見つめあってキス。 (うーん、ずっと我慢してた。 会いたかった。ガキっぽいと思われるかな。 俺、流星みたいに綺麗じゃない。 スマートでもない。)  顎を持ち上げられてまた、キツいくちづけをもらう。 「太郎は何考えてる?」 「ヤクザの事。 どうしたらヤクザになれるかな。」 「なるなよ。」 「陸みたいに背中に全部入れ墨いれるとか。」 「入れ墨はヤクザの必需品じゃねえよ。」  肩を掴まれて顔を覗き込まれた. 「徹司を泣かすな。 俺は親孝行したくても親はいないんだ。」  太郎はハッとした。 「ごめん。」 (親が死刑なんてどんな気持ちだろう。 絶対に聞いたりできない。)  裸にされて腰に手を回されて風呂に入った。 ラブホテルだから二人でちょうどいいバスタブ。 後ろから抱かれて首を舐められる。 「待って。部活やって来たから汗臭いでしょ。 シャワーで流すよ。」 「このままでいい。このまま抱いていたい。 身体中ぜんぶ欲しいんだ。」  この前、温泉で最後まで行ったけど、太郎は怖がってないな。  お互いに自然のままで抱き合いたいのに二人の間には屹立したものがある。 「ぎゅってして。」 「邪魔なものがあるな。大きくなりすぎた。」 一緒に握る。手に余るくらい大きくなっている。  片手で一緒に握った陸に 「手が大きいね。このゴツゴツした指が好き。」 離れていても陸の手が見えただけでゾクゾクしてしまう。 「陸ってセクシーだね。」 「太郎の方がすごい。煽ってくる。 俺を狂わせる。」 「中に入れて。陸とピッタリになりたい。 一部の隙間も無いくらい繋がりたい。」  ローションを塗り込められる。

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