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第170話 謎は解けない

 吉田が「ジュネ」に顔を出した。 「やっぱり、きな臭いのはC国だ。 トクリュウのアジトが摘発された。 ミャンマーとカンボジアとそこに囲まれた一帯。 C国、国境付近だ。  工業団地の跡を使って国際詐欺の拠点にしている。残念ながら手が出せない。」  警察は国外の事には無力だ。国際手配しても、次々に拠点を変える。 「詐欺事件はまた,別だ。 人身売買が問題だ。臓器の事だ。」 「個人の手に負えない案件だ。 広範囲に広がりすぎている。」 「首謀者を捕まえれば?」  警察の発表によると,海外で闇バイトに使われている日本人はかなりの数になる。  パスポートを申請させ、出国したら取り上げる。それからは軟禁状態で不眠不休で働かされる。 「奴らは普通に会話できる日本人が欲しいんだ。 日本で食い詰めて借金まみれの若い奴を縛り付けて働かせる。かけ子のノルマがきつくて酷い制裁が待っている。死にそうになったら、臓器を取り出す。広い山があるから死体など捨てるところはたくさんある。 地獄の連鎖だな。」    実態が、うっすらとだが、見えてくる。 陸は港の李星輝に会いに行った。 「梁大人にも話を聞きたい。  闇バイトと臓器売買の実態を。少しでも何か知っていたら。外国の話になってしまった。  でも、被害者は日本人なんだ。証拠がないと。」  華僑の間でも懸念していると言う。 「真面目に商売やって来たのに、まるで敵のように見られる。」 「ずっと友好的に商売して来たのに。」  極端な事件が報道される。港のコンテナの管理を担って来た梁大人は嘆く。 「汚いことをやっていたら日本人に信用されない。お互いにウィンウィンの関係だったのに、 この頃信頼関係が崩れてきた。」  確かに異国で信頼を構築するのは並大抵の事ではなかったろう。  李が、 「俺たち半グレだと言われてるけど インバウンドで来ている旅行客のマナーの悪さには手を焼いてるんだ。」  C国は一枚岩ではなさそうだ。 共通の思想で一丸となっている、というのはただのポーズに過ぎない。  今や様々な問題が噴出しているようだ。 「我々も個人的には手が出せない。 彼らの偏った思想は、天○門事件でわかっている。これ以上被害者を出さないために、我々に何が出来るか?」

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