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第184話 学生

 小風君に酷い目にあってから,秋吉はある嗜好に目覚めた。サイコパスと言われるが、そうとも言い切れない私生活。  美しい人が好きだ。それも男性。少年と言われる子供が対象だった。  秋吉が本気で愛するのは犬と猫。 飼っているのはジャックラッセルテリアだった。 まめに散歩する。元気な犬は散歩が大好きだ。  近所の河川敷をほぼ決まった時間に散歩したので顔見知りになる愛犬家も多かった。犬を共通点に無防備に近づいて来る人たち。  秋吉はペットを利用して人を騙す事は絶対にしなかった。  優秀な秋吉は受験も楽々クリアした。 晴れて医学生になった。忙しくなり、親と同居していたから犬と猫の世話は父親に頼む事も多かった。母親には犬は絶対に触らせなかった。  C国人の母親が今ひとつ信用出来なかった。 フーグイを殺された恨みが消えない。実の母親でも信用出来ないのだった。  家には保護した猫が7匹いた。どの子も訳ありで怪我をしていたり、助けを求めて秋吉と目が合った子たちだった。  ジャックラッセルテリアには日本の名前をつけた。ペットショップで売れ残って大きくなってしまった犬は狭いケージの中でしょんぼりしていた。声が聞こえた。 「サスケ、オレ、サスケだよ。連れてって!」 敏捷な犬だったから名前がよく似合っていた。  人間には冷たい秋吉が、犬や猫にはものすごく優しい。サスケもすぐに猫たちと仲良くなった。  そして犬の散歩中に出会った少年に恋をしてしまった。 「犬、触っていい?」 「噛まれるぞ。腕くらい噛みちぎるぞ、猟犬なんだから。」 「えっ?でも優しい目をしてるよ。」 「ああ、サスケは人を見るんだ、 酷いことをしない人はわかるんだな。」  頭を撫でさせた。 「おまえ、いくつだ?」 「3年。小3。9才だよ。」  可愛い少年だった。 「学校の帰りか?」 「うん、オレ学校行ってないんだ。」 「不登校ってやつか?」 「うん、まあね。」  母子家庭で母親が働いているから、いつもこの辺を一人でうろついているらしい。 「あぶねえな。」 「お兄さんは学生?」 「ああ、大学生。」 「暇なの?」 「暇じゃねえよ。うちくるか?」  

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