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第188話 オペ
秋吉は様々なコネを使って、世の中の裏側には
小児性愛の愛好家がたくさんいる事を知った。
あるきっかけで児童ポルノのアテンドをすることになった。
タカシの綺麗な身体が恋しかった。
小児性愛の好きな客はサドっ気が強い。子供を壊す。酷い事を好む客に嫌気がさしたが、顧客名簿はしっかりと手に入れた。
そんな学生時代を過ごして
タカシとの関係は引き裂かれた。
母親に、刑事訴追はしないが二度と近づくな、と言われてしまったのだ。
医師免許が取れなかった。試験に受からない。
嫌気がさした。内臓に。解剖学が取れなかった。自分でも意外だった。
心の中に空いた完全に虚ろな穴。医者になるべきではないだろう。
その頃C国では臓器移植の話が盛り上がっていた。秋吉には最も苦手な作業。現場でメスを触れない。
一方、臓器移植の話は学生の間でも、まだ噂にすぎなかった。子供の、特に赤ん坊の臓器が不足しているという現実。
「一度は心臓移植のオペ、やってみたいな。」
外科の学生はその話で持ちきりだった。
秋吉は敢えて精神科の医者を目指したが、実習はついて回る。医者の道は諦めた。
しかし臓器移植のために誰かのものを手配する事には興味を持った。
死にたての臓器。新鮮な臓器。その言葉に思わず勃起するほどだ。
父の盟友、張さんに話を聞きに行く。C国の情報なら一番早い。張さんはチャイニーズドラゴンのメンバーらしかった。
元々働き者の華僑だったが、C国人に愛想が尽きた、と反社のドラゴンに参加したらしい。
生粋の反日思想家だ。港の梁大人とは犬猿の仲らしい。梁大人は日本に溶け込んでいる。日頃から日本が好きだ、と言っている。
「ドリーム、って知ってるか?」
赤ん坊を養子に斡旋する会社だ。望まぬ妊娠で時期を逃した訳ありの女性が、費用も何もかもドリームが出してくれて,生まれた赤ん坊を海外に養子に出すまでをやってくれる。丸ごと請け負ってくれるらしい。
顧客は女子高生が多いという。中には親が付き添ってくる者もいるが、大体は一人で来る。相手の男はほとんど顔を出さない。
「海外の富裕層の家族が養子縁組をしますから、
みんな幸せになれますよ。」
それを信じて、妊娠した女子高生が集まってくる。
バーテンダーの健ちゃんの妹が罪の意識に自殺したのもこのドリーム事件だった。
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