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第200話 殺し屋竜のやり方
昔、堂島孝平がいいように使っていた今関竜は
掃除屋として、孝平が、消せ、と言った人間を掃除して来た。この仕事には死体の始末も含まれる。竜のやり方は、死体をミンチにして海に撒く、という事だった。魚の餌にする。
近年、ミンチにした死体は凄惨を極めるため、
海まで運ばず、アスファルトに混ぜ込んで道路に
固めるやり方が主流になっている。
今関竜は死刑になったが、刑事訴追できた事件以外にも、見つからない殺人が相当数あるだろう、と言われている。
殺人の立件には、犯人の動機と遺体の存在が不可欠だ。
陸の場合、罪に問われるのは死体遺棄だが、証拠になる遺体がない。立件は難しいだろう。
「それでも、陸は罪の意識に苛まれて来たんだよ。左千夫、どうだ? 気が済んだかよ。」
吉田に言われて項垂れている左千夫。
左千夫は、遺体なき殺人をどうやって証明したら保険金が下りるのか、心配していた。
後日、陸は弁護士を立てて左千夫の母に多額の金を渡す書類を作った。保険金を当てにしなくても、それより多額の金で解決を図った。
資金は会長の堂島鉄平が出した。兄の孝平伯父貴と違って太っ腹な人だ。
「俺のハンチクな兄貴がいいように使った陸と、父親の竜、すまなかったな。
親子二代,呪いをかけたようなもんだ。」
「会長、ありがとうございます。
どこまでもついて回る親父の呪いだ。
せめて左千夫に本当の事が言えてよかった。」
由香が
「左千夫、あんたの父親はクズだったんだよ。
陸を恨むんじゃないよ。
それは流星だって知ってるよ。
天尊、帰ろう。」
「すみません。飛んだ修羅場をお見せしちまって。」
「いやぁ、いろんな事がよくわかって良かったじゃないか。
これを機に我々も仲良くやりましょう。」
チャイマの王天尊はえらく物分かりのいい奴だった。握手して
「今度会長のお許しが出たら、兄弟分の盃を頂きたい。」
そう言って帰って行った。
吉田と一緒に来た張大兄をみんなが不思議そうに見ていた。
「あの、こちらはどなたさんで?」
「ああ、秋吉のお目付役。
チャイニーズドラゴンの張大兄だ。」
「ああ、よろしく。秋吉とはどんな関係です?」
「ずっと、面倒を見て来た。
秋吉の父親とは盟友なんだ。」
「表に出ない悪事がたくさんある人ですよね、秋吉さん。」
零士が嫌な顔をして言った。
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