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第5話 風呂にふたり **

「飾音……っ」 「いいって言うまで、イクなよ」 飾音は俺の先端から滲み出たカウパーを指先でくるくると広げながら、もう片方の手で棹を上下に優しく撫で擦る。 「ん……、はぁ……っっ」 「感じてる声、可愛い」 「ばか、やろ……っ」 それからしばらく、ほどよい強さで握られ、低刺激のままゆっくりと扱かれた。 オナニーと変わらないはずなのに、他人からされるだけで全然違う。 そして不思議と、女の子にされるのともまた違っていた。 「飾音……っ」 「ん?」 快感は拾えるが、このままだと全然イけそうにない。 もっと強い刺激が欲しくて、腰が勝手に揺れる。 「誰が勝手に動いていいって言った?」 「ご、ごめん」 快感を追おうとした俺を、飾音は今まで聞いたことのないような声色で注意する。 その声の鋭さに、俺の背筋にぞくり、とを伴う痺れが走った。 「彬良はここが好きなんだよね」 ダラダラとはしたないほど垂れるカウパーを掌に馴染ませ、飾音はくちゅり、くちゅり、と卑猥な音を響かせながら、俺の息子のカリ部分を指先で引っ掛けるようにして強く擦る。 「ああっ……!」 急に訪れた強い刺激に、ふたつの袋がきゅうと縮んで射精感が下半身に集まる。 「まだ駄目だって」 「……っっ」 パッと飾音に手を離され、俺の息子がぶるんと震えた。 「彬良はオナる時も早く済まそうとする癖があるよね。少しチントレしようか」 「チントレ?」 俺が首を傾げた時に、「お風呂が沸きました」と機械の音声が部屋に響いた。 「ちょうどいい。彬良、先に風呂行ってて」 「え?」 飾音はそう言うと、横になっていた俺の身体を起こしてベッドの上に座らせた。 先に?というか、俺まだ背中側で手を縛られたままなんだけど? 「足元気を付けて。お姫様抱っこして貰いたいなら、して運んであげるけど」 「いや、それはいい」 俺は不燃焼のままの身体を起こして、つまずかないように注意を払いながら風呂へ向かう。 浴室ドアに背中を向けて、後ろ手に取っ手を掴んで下げる。 もぅと暖かい湯気の立ち込める風呂に入って、ドアを閉めた。 捻るタイプの蛇口なら困っていたかもしれないが、最新の設備の整った飾音の家は、シャワーがワンプッシュ式だ。 取り合えずシャワーからお湯を出せば、即湯システムで冷水はあっという間に温水となり、俺の身体を濡らした。 ほんの少しだけ息子が落ち着いたタイミングで、本当に飾音が風呂に入って来た。 手を縛られたままだから、来て貰わないと困るっちゃ困るんだが、やはり狭い。 俺が壁ギリギリまで下がると、足元に風呂イスが当たってカタン、と軽快な音を響かせた。 「彬良、お待たせ。いい子にしてたか?」 いい子って何だ? 一瞬そう思ったが、半分力を失った息子を飾音が注視していたことに気づいて、俺は苦笑する。 「……手を縛られたままなんだから、自分で出来るわけないだろ」 「はは、それもそうか」 何が楽しいのか、飾音は普段のポーカーフェイスを崩して微笑む。 飾音のこの、たまにしか表に出さない微笑に、クラスメイトの女の子たちはみんな、心を奪われるんだよな。 「彬良、イスに座って」 「ん」 俺は飾音の指示に従い、飾音に支えられながら風呂イスに座る。 両手を縛られたまま座るという行為が、こんなにやりにくいものだとは思わなかった。 「足を開いて」 「ん」 「返事はだろ」 「……はい」 命令されて、俺の胸に悦びが広がる。 ……ヤバい、イイ。 誰かにこうして、征服されたかった。 その相手を、ずっと当たり前に女の子という範囲でのみ探していたけど、まさかこんな身近にいたなんて。 俺はそろ、と開脚する。 少し元気を失っていた俺の息子は、再び天を仰いでいた。 しかしそれよりも、俺の目の前には俺の息子より元気な飾音の息子がビキビキと血管を浮き立たせて反り返っている。 そういや、高校時代に誰のちんこがデカイって話で盛り上がる時、決まって名前があがるのが飾音だったっけ。 状況的にこのままイラマだろうか、と思ってゴクリと喉を鳴らす。 今まで女の子が相手だったから、クンニしかしたことはない。 よくよく考えてみれば、無理矢理奉仕させるんだったら、まんこよりちんこのほうが楽だろう。 「今日はしないから、安心していい」 「え……?」 俺が飾音の息子をガン見しているのがバレたのか、頭の上から飾音の優しい声が降って来た。 思わず見上げた俺と、飾音の視線が絡まる。 「男なんて考えたことなかっただろうから、まだ抵抗あるだろ?」 「う……ん」 そう聞かれて、思わず頷いたが。 そのまま顔の火照りを誤魔化すように、俯いた。 うわ、恥ずかしい。 飾音の言う通り、今までだったら男のイチモツを咥えるなんて想像しただけで身震いしただろうに、今の俺はむしろ期待をしていた。 俺の喉を突くように思い切り腰を振って、逃げられないように頭を押さえ込んで、そのまま顔にかけられてしまう自分を想像して、興奮した。 「今日は、これ」 飾音はそう言いながら、俺の目の前に女性用の肌色のストッキングを見せた。 「ストッキング……?」 ストッキングなんて、なんでそんなものがあるんだ? 彼女はいないけど、セフレはいたとか? 「そう。したことある?」 したこと? 穿いたことって意味か? 俺は首を振った。 「穿いたことはないけど」 「はは、なるほど。したことなさそうだね」 だから穿いたことなんてないと言っているのに、と思う俺の前で、飾音は風呂桶の中にトロトロとした透明の液体をたっぷりと垂らして、その液体にストッキングを浸した。 「……それ、なに?」 「ローションストッキング」 そこまで言われて、やっと気づいた。 手で扱くのとはまた違った気持ち良さがあると、どこかで聞いたことはある。 ただ、ローションでベタベタになるから後処理が大変で、ローションを買うにも金がかかるし、俺はやったことがない。 俺はセックスにもローションを使ったことはないけど、飾音はあるのだろうか。 「言っとくけど、ストッキングはさっきコンビニで買った。ローションはいつか使うかもって思って持ってただけ。……誰かとこういうことするの、初めてだって言ってるだろ」 「あ、そ、そっか」 相変わらず俺の考えていることは、顔に出てしまうらしい。 「急な話でグッズを揃えていなかったから、今度までに揃えとくよ」 「……ん。ありがと」 があるのか、と思いながら、俺の視線は飾音の手で広げられたストッキングに向く。 持ち上げられたストッキングから、纏わりついたローションがポタポタと滴った。

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