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第7話 素股 **

「ちょっとドア開けるから、少し寒いかも」 「ん」 どうしたんだろうと思って飾音の動きを目で追えば、飾音は浴室ドアの外に置いておいたらしいゴムを一個手にして開封し、また直ぐにドアを閉めた。 誰とも付き合ったことないのによくゴム持ってたな、と思えばそれも顔に出ていたらしい。 「これも、さっきのコンビニで買った」 「なるほど」 俺はコンビニで飲み食いや泊りのことしか考えてなかったけど、飾音は俺とのプレイを考えながら買い物していたんだな。 なんだか少し、申し訳ない。 「じゃあ、次は俺の番な。彬良、そっち向いて尻突き出して」 「……ん」 次は飾音の番。 いよいよ尻に突っ込まれるのかと思い、不安できゅうと袋が縮こまる。 しかし、その不安が心地好い。 自分で言うのもなんだが、なんとも天邪鬼で不安定な俺の性癖。 ただし、誰が相手でもそうでいられるかと言えば、多分違うのだろう。 一度飾音よりも行きずりの男相手のほうがマシかもと考えたことがあったが、恐らくそんな相手では俺の心の奥底に揺らぐことなく居座り続ける安堵感はないに違いない。 初めてのプレイ相手が飾音で良かったのかも、と改めて思った。 相手への信頼がなければ、心からこうしたプレイを楽しむことは出来なかったかもしれない。 やったことがなかったから、気づけなかった。 「あれ?」 「ん?」 てっきり突っ込まれるんだと思っていた俺は、つい拍子抜けした声をあげる。 飾音はそのゴムを自分の息子ではなく、人差し指と中指の二本にかぶせ、外側にローションをつけていたからだ。 「何? まさか、突っ込まれるとでも思った?」 思った。 「男同士は尻でするってことくらい、知ってるから」 「彬良、ドMだけど痛いのは嫌だって言ってただろ。慣らさないと痛いよ」 「そういうものなのか」 つまり、指で慣らすってことか。 「じゃあ、ゆっくり入れるね」 「~~っ」 予想はしていたが、飾音の指が俺の出口だとばかり思っていたところに添えられ、緊張で身体が固まる。 「力抜いて」 「ん……」 にゅるにゅる、と何度か出口、いや入口を撫でられたかと思えば、俺が身体の緊張を解いた瞬間ににゅぷり、と飾音の指が入ってきた。 「ン……ッ」 「凄い締め付け……でも、上手だよ」 「あ、ぅう……ッッ」 にゅぽ、にゅぽ、と何度か指を出し入れされ、俺の腰から背筋にかけてぞわぞわとした痺れが走る。 「ア……ハァ、ハァ……」 「いいね。狭いけど、スムーズに動かせる」 尻穴を何度も何度もほじくられ、気づけばその感覚に慣れてきた。 意外にも、慣れてくればそれなりに気持ち良くすら感じてしまう。 「……彬良、尻を掘られてちんこが元気になったね」 「……っ」 飾音に言われて、再び元気になった息子に気づいた。 「ネコの才能ありそう」 猫ってなんだと思った瞬間、飾音に息子をむんずと掴まれ、俺の下半身が一瞬硬直する。 「わ、凄い締まった。突っ込んでたら、今のだけで持っていかれるな」 「飾音、前、掴まない、で……っ」 「お願いの仕方、間違えてない?」 飾音はローションがたっぷりと纏わりついた手で、俺の息子を扱き出す。 さっきのストッキングほどではないが、他人に扱かれるという刺激は、耐えるのが難しい。 「イっちゃう、から、手、放して、くださ……っっ」 尻も息子もぐちゅぐちゅと甘やかされて、腰が砕けそうだ。 俺は喜悦の涙を滲ませながら、懸命に首を振る。 「なんで? 気持ちいいだろ」 「だって、今は、飾音の番……っ」 イかないよう我慢しながら、言葉を紡いだ。 ぴたり、と飾音が動きを止める。 「本当に彬良は……っ」 そう言うと、飾音は尻穴から指を引っこ抜いて息子からも手を離し、俺の後ろにぴったりとくっついた。 俺の尾骶骨に、ドクドクと逞しく脈打つ飾音のペニスの存在を感じる。 「大丈夫、今日は入れないから」 「あっ……」 垂れた色んな液体でドロドロになった俺の内腿の間に、飾音の息子がにゅる、と入り込んできた。 「足だけ閉じてて」 「……ん」 ペニスが俺の足の間から抜けないように、飾音はゆっくりと腰を動かしはじめる。 ずちゅ、ずちゅ、といやらしい音を奏でながら、俺の内腿の隙間から飛び出る先端が緩急をつけて俺の袋と息子を何度も擦り上げた。 「ぁあ♡ ん……っ♡♡」 「……くっ」 なんだこれ。 素股って、突っ込むほうばかりが気持ちいいのだと思っていたが、思っていたのとちょっと違った。 完全に、疑似セックスだ。 股で飾音のデカマラを感じ取れて、否が応でも興奮してしまう。 いつかこの太くて長いもので突かれる日が来るのか、と思うと、男同士なんて考えたこともなかったのに嫌悪よりも愛着のようなものが沸いてしまう。 飾音の息子は俺の内腿でどんどんと硬くなり、やがて普段より掠れた声で飾音は囁いた。 「イきそう、彬良」 「うん、飾音も、イって……っ」 「……ぅあ……ッ」 少し腿に力を入れて強めに挟むと、飾音の先端から大量の白濁液が物凄い勢いで吐き出される。 飾音の体重と熱が背中にのしかかり、はぁ、はぁ、という荒い息が耳たぶを掠めた。 股でイかせることが出来て、なぜだか嬉しい気持ちが俺の胸に広がる。 「気持ち良かった……彬良、ありがと」 「んンッ……」 背中から飾音の重みが消えたかと思うと、直ぐに口を塞がれてまた激しいディープキス。 少し身体を捻るだけで、普段使ったことのない筋肉が痙攣した気がして、明日は絶対に筋肉痛だと理解した。

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