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第17話 俺のご主人様 *

その日から、飾音は親友だけれども俺のご主人様、という意識に切り替わった。 ただし、ご主人様でいるのはえっちなことをする時だけ。 飾音の口調が切り替わった時、俺は飾音の従属者になる。 それは、今まで味わったことのない甘美な時間だった。 俺は飾音とテレセをした日から息子を扱くというオナ禁を本格的に自分に課し、どうしてもエロい気分になった時は、乳首やアナルを弄ることにした。 俺に付き合ってくれる飾音に、嘘は付けない。 今だけだったとしても、飾音は俺の、ご主人様なのだから。 「飾音……っっ♡♡ 飾音ぇ♡♡」 俺は今日も、飾音の名前を呼びながら一人でアナニーに没頭する。 お尻でこんなに快感を味わえるなんて、飾音に教えて貰えなければ知らないままだった。 アナニーのためのグッズが沢山あることも、ローションですら色々種類があることも、初めて知った。 アナニーを初めてから三カ月、毎日実戦することで事前準備も手早く一人でこなせるようになり、自分で色々調べるようになった。 飾音から週一で指示される内容は仕事で疲れていても、毎日しっかりと実戦した。 アナルプラグは、早々にアナルビーズに変わった。 そしてアナルビーズも柔らかいシリコン製のものから、硬質素材のタイプのものへと変化した。 どうしても息子に触りたくなる、と飾音に泣き言を言えば、翌日にはコックリングが届けられた。 飾音は手動タイプのアナルビーズを好んで、テレセでは基本的にそれを俺に使わせる。 俺が自分で尻穴をジュボジュボと拡張する姿を見るのが好きらしい。 けどそれとは別で、俺が一人でアナニーする時用に、吸盤タイプのアナルプラグも送ってくれた。 ランダムに凹凸が配置されたディルドのようなそのアナルプラグは、床にしっかり固定さえ出来れば後は騎乗位の要領で手ではなく身体を使ってアナニーが簡単に出来る。 体力のある限りは続けられるので、俺が一人でアナニーする時は専ら、吸盤タイプのアナルプラグに跨ることが多かった。 飾音に触れられた時に感じたポイント。 そこを擦るように腰を揺らせば、快感を得られるようになってきた。 そしてアナニーに慣れてきた頃、飾音から振動タイプのエネマグラが送られてきた。 それで俺が気持ち良いと感じるところ……前立腺を簡単に刺激できるようになり、射精感とはまた違った官能に浸れるようになった。 仕事が忙しくアナニーをすることが時間的に難しい時は、乳首を弄ることに専念した。 あまり弄り過ぎると良くないと飾音が言っていたので、痛みを感じる前に止めるようにはしていたけど、乳首も日を追うごとに敏感になっているのがよくわかった。 飾音は、そんな俺の日々の努力だか苦労だかを理解しているのか、毎週その頑張りを必ず褒めてくれる。 だから俺はいつも金曜日が待ち遠しくて堪らなかった。 どれだけ俺が痴態を見せても、飾音なら絶対に引かない、むしろ喜んでくれるという信頼がいつの間にか生まれていたのだ。 『昨日送ったやつ、きちんと着てる?』 待ちに待った金曜日、飾音に言われて俺はしまった、と反省する。 「ごめん、昨日忙しくて……そのままにしてた」 『そっか、お疲れ様。じゃあ、今開けてみてくれる?』 「うん」 今度は何が送られてきたのだろうかと、俺は郵送物を手に取る。 いつもは宅配なのに、今回は郵便受けにそのまま入っていたくらいに薄っぺらい。 不思議に思いながら梱包を解くと、透明なビニールの中には黒いレース素材の何かと、黒い紐のようなものが入っていた。 俺はそれを両手で持ち、視線の高さまで持ち上げる。 首を捻りながら、レース素材の向こうで嬉しそうな様子の飾音に尋ねた。 「……これ、何?」 『彬良の下着だよ』 は? 下着?? どう見ても男が穿く代物じゃない気がするんだが……いや、この真ん中の穴、もしかして。 『きちんと男性用だよ。彬良が穿いたら可愛いかなーって思って』 「ええと……ありがとう?」 プレゼントされたものに対しての返事は多分、これで合っているんだろう。 しかし、こんな物を穿いた男を見て、嬉しいものなのだろうか。 女の子なら……と思い、そこで俺は首を振った。 また、自分の常識で測ろうとしまっていた。 「この、紐のようなものも下着……?」 俺はもう一つの紐を摘まんで飾音に見せる。 『そっちはね、ストッパーバンド。この前、アナルプラグを入れたまま買い物行かせたら、抜けそうで怖いって半泣きになってたでしょ。結局アパートの一階で引き返したし、可哀想だったなって思って』 「うん、まあ……」 『これで彬良、きちんとアナニーしたまま安心して外出できるね』 「……ありが、とう」 若干声を弾ませる飾音に、俺は顔を赤くしながら今度こそお礼を言った。 一週間前、アナルプラグを埋めたまま外へ出るよう飾音に言われたのに、尻から抜けるんじゃないかと気が気じゃなくて、M的には凄く嬉しい命令だったにもかかわらず、プレイを楽しめなかったのだ。 多分、アナルプラグをしたままの外出について自分で色々調べた時に、予期せぬタイミングでお尻から出てしまう場合もあると知ってしまったからだろう。 俺の不甲斐なさを責めるのではなく、こうして俺の不安を払拭した上でもう一度チャンスをくれるなんて、飾音は優しいご主人様だ。 『じゃあ早速、着て見せて。下着の次にストッパーバンドをすれば、同時に装着出来るはずだから』 「……はい」 俺の息子は、今穿いているトランクスの布地を期待で押し上げた。

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