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第33話 誘惑 ***
すりすりすりすり、と乳首を弄られながら、飾音に尋ねられた。
「そういえば、彬良が映画館デートを避けた理由ってなんなのか、俺が聞いても平気?」
「……んッ♡ ……ん?」
目の前のテレビ画面にはサブスクで選べる映画が流れているが、二人ともほぼ真剣には見ておらず、いちゃいちゃ行為に夢中だった。
映画監督には大変申し訳ないとは思うけど、どうもインド映画は俺たちの好みではないらしい。
唐突に始まるダンスで、ストーリーに集中できない。
なんでいきなりそんなことを聞かれるのか不思議に思ったが、以前居酒屋でデートについてのアドバイスを求められた時、映画館以外のデートスポットに行った話をしたなと思い出す。
「別に、大した理由じゃないよ。元カノたちと一緒にいた時の沈黙の時間が苦手なのと、感動モノとかそういうシーンを観た時、泣くところを見られるのが恥ずかしかっただけ」
「ああ、彬良は涙脆いもんね。そういうところも、良いと思うけど」
「……ええと、褒めてる? 貶してる?」
「勿論褒めてる」
「そっか。ならいいや」
俺がこくりと頷くと、乳首をくにくにと弄っていた指先で、今度はピン! と弾かれた。
「ぁんっ♡ ……もう、集中できないだろ」
「どう考えても、とっくに集中できてないよね」
「……まぁね」
俺は上を向いて、俺の後ろにいる飾音の後頭部をそっと引き寄せた。
飾音はちゅ、ちゅ、と唇を合わせるだけのキスを落としながら、俺の乳首を両手で押し潰す。
「あッ♡ あぁ……ッ♡」
飾音の興奮をお尻で感じて、誘うように腰を揺らした。
「何? さっきセックスしたばかりなのに、もうしたいの? いやらしいね、彬良は」
「うん。飾音となら、何度でもシたい……♡」
我慢できなくなった俺はくるりと飾音の方を向いて、太腿の上に跨るようにして座る。
Tシャツを脱ぐとそのまま手を伸ばしてベッドの上に転がっていたローションを拾い、飾音の短パンに指を引っ掛けずるりと下ろす。
そして屹立した状態で姿を現した飾音のペニスに、トロリと冷たいローションを直接垂らした。
「飾音のこれ使わせて貰うけど、飾音はそのまま観てていいよ」
「こら、彬良……っ」
飾音の制止を無視してローションで濡れた先端に狙いを定めると、俺はゆっくりと身体を下ろして自分の穴に飾音のペニスを誘い込む。
いつでも飾音と合体できるよう、飾音の家にいる時の俺の下着はそのほとんどが紐のような薄い生地の、卑猥な穴あきのものばかりだ。
夏前で暖かいこともあり、自分はほぼTシャツとえっちな下着だけで過ごしている。
その格好で部屋の中をうろつけば、飾音の視線を感じることが出来て、心も身体も満たされる。
「あぁ……♡ 飾音のおちんぽ、気持ちい、最高……♡」
ほぅ、と息を大きく吐きながら、動かずに飾音のペニスをアナルに馴染ませる。
フーッ、フーッという荒い鼻息を耳元で感じて、飾音の挑発に成功したことを喜んだ。
「ゴムしてないのに、もう……くそ、吸い付いてくる……っ」
飾音の欲望を……熱を体内で感じてしまってからは、ゴムをされると物足りなくなってしまった。
恐らくそれは飾音も一緒だろうに、こうしていつも誠実であろうとしてくれる。
そして俺は、その誠実さを出来る限り、ぶち壊すのだ。
――そんなことどうでもよくなるくらい、俺に夢中になって。
好きな奴のことなんて、忘れてしまうくらい。
「……ではご主人様、ご奉仕いたしますね」
ずち♡ ずち♡ ずちっ♡
俺は懸命に、自分で乳首を弄りながら、腰を動かす。
「あぁん♡ イイですっ♡ ご主人様も、気持ちいいですか……ッ?♡」
「彬良のナカ、トロトロで気持ちいいよ。でも、ちょっと物足りないかな。もっと激しく腰を振ってくれないと」
「はい……っ♡ では失礼して、倒しますね……こ、こうでしょうかっ?」
乳首を弄っていた手を離して飾音の身体を倒すと、そのお腹の上に手を当て、馬乗りになって激しいピストンを開始する。
どちゅっ♡ どちゅっ♡ どちゅん!♡♡
「んあああっ♡♡」
「自分で腰振って、自分で気持ちよくなっちゃってるの? 彬良」
「はい、ご主人様のおちんぽを使って、勝手に気持ちよくなってます……!」
でも、激しく腰を振ろうとすると、手が足りない。
俺は腰を振り続けながら、飾音に懇願する。
「ご主人様、乳首を弄ってください……ッ」
「うん。すっかり乳首で感じるようになったね」
飾音は俺の乳首を摘まんで、ぐっと引っ張った。
その瞬間、身体にビリビリと痺れが走り、ペニスからどぴゅ♡ と精子が飛ぶ。
「んひぃッッ♡♡!!」
「偉いよ、彬良。乳首イキしちゃったね」
「は、はい♡ 乳首弄られて、イっちゃいました……ッッ♡♡」
「乳首とお尻でイっちゃうなんて、立派な雌犬になったね、彬良。はは、大変だ。女の子とのセックスなんて、もう無理だろ」
「うん♡ 飾音のおちんぽでお尻をほじって貰わないと、イけない身体に、なっちゃいました……♡♡」
俺が乳首でイっても、飾音は容赦なく下から突き上げ続ける。
「イった、イったから♡♡ 待ってぇ……!」
「俺はイってないからさ。ご主人様より先に、一人でイくなんて、駄目だと思わない?」
「ごめんなさい……っ♡」
乳首イキは褒められたのに、同時にイけなかったことは、責められた。
しかしその後も、前立腺を突かれ続けた俺が我慢できるわけがない。
飾音が二回達する頃には、俺は精巣が空になるまでイかされた。
空になればドライでイかされた。
イきすぎで痙攣の止まらない身体はコントロールができずに、勝手に飾音のほうへと倒れ込み、飾音は優しく俺の身体を抱き止めてくれた。
「……ねぇ、彬良と映画館デート、したいな。行ったことないんだろ?」
「ああ……うん、飾音とならいいよ」
飾音となら何度も家で一緒に映画を観ているから、とっくに泣き顔を見られている。
今さらだ。
俺がこくりと頷くと、飾音は無表情でいそいそとスマホに手を伸ばして、公開中の映画について、どれにしようかと相談してくれた。
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