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09-4 ずっと俺の隣にいろ(4) 身も心も満たされて

夕日が落ちた。 王の私室では、ユリウスはテラスに立ち、レオンハルトの背中を見つめていた。 彼は手すりにもたれかかり、何事もなかったかのように夜空を眺めている。 「……お前は、やっぱり強いな」 ユリウスの声は静かだった。 「私の護衛という枠を超えて、まるで……」 「まるで?」 「……英雄のようだ」 その言葉に、レオンハルトは肩をすくめた。 「英雄なんざ、くだらねぇ肩書きだ。俺はただ、お前を守ってるだけだ」 「……そうやって簡単に言う」 ユリウスは少し笑った。 「暗殺者が現れた時……本当に恐ろしかった。もしお前がやられていたらって思うと……心臓が潰れそうで」 その正直な吐露に、レオンハルトは振り返った。 そして、ゆっくりと彼の前に歩み寄る。 「……子猫ちゃん」 大きな手が、ユリウスの肩に触れた。 「……同じだな」 「え?」 「俺が恐ろしいのはお前を失うこと。だから、絶対にそうならないよう、俺はお前を守り抜く。そのためにも簡単にくたばらねぇよ」 その言葉は甘く、力強く、ユリウスの胸を満たしていった。 「……信じていいのか?」 「当たり前だろ。信じてもらわねぇと困る」 **** ユリウスは寝台に横たわり、レオンハルトの大きな手に包まれていた。 「……お前、まだ震えてるぞ」 「仕方ないだろ……」 「なら、もっと俺に甘えろ。全部忘れさせてやる」 その言葉に、ユリウスは小さく頷き、素直にレオンハルトに抱きついた。 (この人が隣にいてくれるなら……どんな闇も恐れないでいられる。すべてを幸せに変えて……) そうして彼はレオンハルトの体温を体の芯で感じながら、身も心も幸せの渦に落ちていった。

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